阿呆の血
家元立川談志師匠は動物好きで、
動物小噺も良くやるし、『権兵衛狸』のような得意ネタもある。
でも私には良さがよくわかっていなかったのだな。
人間が主人公の話のほうが面白いと思っていて、
独演会に出かけて『権兵衛狸』だと少しがっかりもしたものだ。
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私がまちがっていた。想像力不足でした。
ようやく腑に落ちましたよ。
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狸が主人公のお話である。
森見登美彦は確実に落語を聞き込んでいるが、
作品の中にはその断片しか見せていない。
見せ方が、実に色っぽい。
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本作では昼間はカフェで夜は酒場という「朱硝子」(=あけがらす)である。
「明烏」をもじったものであることは言うまでもない。
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登場人物(ほぼ動物か天狗)が魅力的。
登場する酒が魅力的。
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弁天はどこまでも謎めいて妖艶であり、
最後まで姿を現さない海星はどこまでもかわいらしく、
四兄弟はどこまでも抜けていてダメであり、
母上は「母親は息子の嘘にたしてやり」を地でいく親バカで、
赤玉先生はどうしようもない糞爺だ。
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森見作品にしばしば登場する偽電気ブランはいつものようにうまそうだが、
本作でひときわ輝くのは赤玉ポートワイン、
ないしそれを焼酎で割った赤割りである。
「そんなものは偽物だ。お前はワインというものを知らんのか。
本物のワインには赤玉ポートワインと書いてある。」
けだし、名言である。
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面白きことは良きことかな!
それは阿呆の血のしからしむるところだ。
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兄弟仲よくね。
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