望陀の涙と共に読みました。 前作に続いて、個性豊かな人々との交流が、愉快に物語られます。 今回は、再会した旧友の変貌の謎解きが伏線となって引っ張ります。 さらに、つらい死がしみじみと描かれます。 漱石の『草枕』を愛読する者らしく、信濃の自然描写は美しくみごとですし、人情味と物語性が豊かです。 名言を引用します。 「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬である。」(セオドア・ソレンセン) 「内科医には武器がない。外科医や婦人科医のように、いざとなったらメスが出てきて滞った現状を打破してくれることはない。あるのは、ただ病室を訪れる二本の足だけである。」 「医師の話ではない。人間の話をしているのだ!」