東野圭吾は裏切らない
今年の1月20日に、ミステリー界のアカデミー賞とも呼ばれる「エドガー賞」の今年の最優秀作品賞の5つの候補に、東野圭吾さんの小説「容疑者Xの献身」が選ばれた。この賞はアメリカ探偵作家クラブが主催するミステリー賞で、受賞者にはエドガー・アラン・ポー像が与えられる。
ちなみに青山剛昌の漫画作品「名探偵コナン」の江戸川コナンの江戸川は「怪人二十面相」を書いた日本の推理小説家江戸川乱歩からとった物であり、江戸川乱歩はエドガー・アラン・ポーをもじったものである。
新人編集者が目の当たりにした、常識破りあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版者のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭……俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身辺は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。
裏表紙より引用
集英社をもじった灸英社で働く編集者や作家たちを描いた連作短編集。見城徹さんを連想させる伝説の編集者、売れない小説誌の現状、優秀ではないダメ編集者や作家たちのゴルフコンペなど業界の裏を鋭く、ブラックユーモアを交えながら書いている。
年収が300万円代の若手の作家を描いた「職業、小説家」が個人的にはお気に入りだ。デビューだけだったら簡単にでき、続けて売れることが困難なことや、小説すばる新人賞など有名な新人賞とは別にいくらでも無名の新人賞があること、印税や原稿料のことなどリアリティがあった。娘が小説家と結婚することに反対する親の気持なども見事に伝わってくる。
話が素晴らしいのはもちらんだけれども、この小説の素晴らしいところは最後の広告の部分。宣伝のために、本書の場合集英社から既刊されている本が数ページ載っている事が一般的だが「歪笑小説」は違う。小説の中にでてきた小説の広告が載ってある。そして本の話の後に執筆されたであろう本も広告に載っている。小さな広告の字までよく見てほしい。東野圭吾は私たちを少し、でも確実に読者を幸せな気持ちにさせてくれる。
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