本に出てくる様々な出来事は衝撃的で重いもののはずなのに、エッセイのような軽やかな語り口調で大げさな悲壮感がなく、読みやすいです。日本人にとって馴染みのない、東欧の生活が見えて興味深かったし、ロシア語でのやり取りの記述に、ときおりロシア小説を翻訳したような言い回しがあったのも面白かったです。「翻訳風の言い回し」と言うと、優秀な翻訳家である著者にとって不本意かもしれませんが、それは決して訳が下手だからではありません。自然な日本語にこだわりすぎたら、ロシア語でのやり取りにはあったはずの文化色が損なわれてしまうわけで、それが損なわれていなかった点がよかったのです。久しぶりに満足のいく本でした。
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