湯河原温泉街の奥、急勾配の坂の上に立つ5部屋しかない隠れ家感たっぷりのお宿である。 この宿の最大の特長は、立地・部屋・食事・風呂・設備といった温泉宿の評価項目において、一つ一つは特段高価・高級と言えるようなものではなく、あえて言うならすべて「普通」なのだが、そのどれもが「極上の普通」ということであろう。例えば食事、特に豪華・高級といえるような食材はないのだが、調理や味付け・盛り付けが素晴らしく、思わず微笑んでしまうような満足感を得ることができる。風呂もしかり、決して立派といえるような造りではないのだが、手軽に入れ手入れがよく清潔感があるので気持ちよく何度も入りたくなってしまう、これも普通なのに満足してしまうのだ。こうした「極上の普通」は、5組限定の宿であるからこそともいえるが、どの部分においても細かく気の利いた手が入っており、常に客をもてなし癒す心のこもった配慮が成されているからに他ならない。「極上の普通」とは「我が家のように落ち着く」とも言い換えることができ、次回またこの宿に伺う際は、まるで自分の別荘に来たような喜びと寛ぎ、そして幸福感を味わうことになろう。