1泊2日の天体撮影で当地に来た。 前日の天気予報では両日とも雨。実際に初日はずっと雨。 チェックイン後、宿のオーナから教えて頂いた撮影スポットのパノラマ台は最高のポジションだった。 雨雲の合間を縫って、午前3時に子供と部屋を抜け出して、そこで日の出まで撮影を続けた。 数千億の満天の星々、天の川銀河、オリオン星雲、峰々を下って降りていく生き物のように目の前で蠢く雲。  高台から眺める幻影のように浮かぶ富士山の周囲が刻々と変化する。 全てが夢か現実か分からない光景だった。 撮影が終わり早朝の宿への帰路、運転する山道脇の森に、餌を漁っていた二ホンシカの四、五頭の群れに出くわす。 車を路肩に止めてゆっくりと車から降り、移動してレンズを向ける。 立派な角を持っている鹿は、おそらく、群れのリーダーだろう。 対峙して目を合わせても、逃げることなく、こちらを微動にせずに見つめ返していた。その距離は5m以内。 群れを守る強い意志と責任感の表れに強く胸を打たれる。 動物園や奈良公園の飼い慣らされた鹿と、格段に存在感があり風格が違う。 人間など足元にも及ばない威厳がある。まるで魂が宿っているようだ。 その朝、山中湖の東側湖畔の宿、期待通りの富士山が湖面に映り、期待通りの絶好のポイントだった。  湖畔の西側だと、木々に邪魔されて全容が遮られていたであろう。  宿の向かいは道路隔てて直ぐに湖畔。 午前7時前、湖面からみるみる溢れる昇る朝霧は幻想的で、白鳥のつがいが静かに近付いて来た。  しばらく戯れた後、立ち上がると既に朝霧のはるか先に、日本画のように描かれた富士が垣間見えた。 もう何十年も見ていない美しい風景を心に大切に刻みました。 最高の体験、最高の宿、最高のオーナさんでした。ありがとうございます。