県道29号線のどん詰まりの最終地点にある温泉街は鄙びていて、秘境っぽい佇まいを見せる場所だ。そして木造の宿は現在の巷で云うところの「旅館」とは少し異質な感じがする。旅館の定義には合致しているのだろうが、共同の「洗面所」と「便所」は懐かしい感覚である。私にとってこれは幼少時に行った家族旅行を彷彿とさせる。
懐かしさと相まって、この宿での非日常的な空間は心が洗われる。夕食時、別の個室に案内されたが、料理は多彩な料理で素晴らしい。
風呂の湯は微かな硫黄臭がして格別な感じだ。湯に浸かると肌が「ツルツル」になるので驚いた。浴槽は男湯で二つ。源泉を加温してあるみたいだが、源泉が落ちる上手の浴槽の湯温は39度代後半といったところだろうか、長湯できて心地良い。下手の浴槽は39度代前半くらいであり、双方ともゆっくり浸かれて良い湯温だった。
以前の男湯には外に「洞窟風呂」があったらしく、覗いてみると廃れて遺跡のようになっていた。しかしこの洞窟、なかなか良い雰囲気だったので、是非復活を試みられたら良いのではないかと思う。
以上、この温泉地は通り抜けが出来ず、引き返すしかない場所にあるのだが、なかなかどうして静寂な空間に身を置いてみるのも乙な感じである。
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