既出の作品と整合性が取れていない部分もいささか見受けられるようだが、まあ、重箱の隅をつつくような文句はともかく、今作では、二十三歳になった阿良々木暦の語りで、物語シリーズの愛すべきキャラクターたちのその後が、新キャラを交えつつ描かれている。今後物語シリーズが『大人編』に移行して続編が描かれるのかどうか、現時点では定かではないが、このまま終了しても構わないくらいの“結び”には到達したのではないかと思う。
残酷童話「うつくし姫」:ヒロイン本に次ぐ再録だが、残念なことに1箇所誤植があった。8ページ後ろから2行目、「そして」の「し」が抜けている。 あせろらボナペティ:構成が上手い、面白い。時系列が少しだけ前後し、そして、話が進むに連れてどうなっていくのだろうと、先を知りたい期待感を膨らませてくれる。それにしても、後に忍野忍となる人物の、キャラが全く違うのが興味深い。何百年も生き続ける前の、しかも吸血鬼になる前だから、阿良々木暦はおろか、吸血鬼の“親”というか“主”に当たるスーサイドの性格の影響も受けていないからだろう。そして、最後の最後に、小説ならではというサプライズが。 かれんオウガ:何だか難しいテーマに挑んでしまったなという感じがしないでもない、火憐ちゃんも西尾維新先生も。そして、忍ちゃんも大活躍。後半にまたもサプライズが。火憐ちゃんの「偽物語」以来の決め台詞にも心が震えた。ところで、忍の、暦を呼ぶ時の二人称が『うぬ』に戻っている。現在進行中の劇場版アニメ「傷物語」に影響されただけ(つまり西尾先生の勘違い)なのか、はたまた、別の意味があるのか? つばさスリーピング:見開きの挿絵、CMで予め見ていないと、中央の二人組みの姿に気付けないのが惜しい。で、本編。意外な既知の登場人物が出る。更に、「傷物語」にて起こった出来事の影響が、あっと驚く形で現れる。 総評:いずれも趣向を凝らし、サプライズが用意されている。長く続いている「物語シリーズ」だが、まだまだ西尾維新先生の引き出しのネタは尽きないようだ。
今作は、物語シリーズオフシーズン第1弾という位置づけになるようです。 「そだちフィアスコ」:老倉さんの独壇場に舌を巻きます。 「するがボーンヘッド」:神原さん、高校三年生の夏休み、まだ怪異との奮闘は終わっていません。 「つきひアンドゥ」:抱腹絶倒! まあ、「怪異は語り部になれない」なんていうのは、別段御破算にしても構わないルールでしょうね。面白ければいいんです。彼女の視点なればこその訴求力だと思います。 全編通して、あの人やあの人とかの近況もちらほら散見できます。
七十四話:柴田くん再登場。また一人愉快な友人が増えました。ラストのオチも良い。七十五話:泣ける。七十四話が人間の友人達と、七十五話は妖しの友人達と、力を合わせて奮闘するお話。七十六話:私の記憶に間違いがなければ、シリーズ中で最も表情豊かなレイコさんと出会えるエピソードかもしれません。七十七話:的場一門に協力する羽目になる夏目。人間とも妖とも付き合い方が上手くなってきている夏目ですが、祓い屋はそこら辺りの境界線があやふやというか、的場や七瀬たちすら妖怪じみているといった感じで、妖しくていささか不気味です。今後の展開を示唆する要素も少しずつ少しずつ盛り込まれております。
ネタばれなしで感想を書くのはちょっと難しいかも。敢えて一言で述べるなら、「阿良々木くんはやっぱり阿良々木くんだ」と言った感じになるのでしょうか。あと、これは全くの余談なんですが、今回の話、「ドラゴンボール」に出てくるナメック星人のデンデを連想してしまいました。え? 誰のことかって? いやいや、勿論ネタばれ厳禁です。まだ謎の全てが解き明かされていないような気がします。だからこそ、「続・終物語」に続くんだろうけど。
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結物語
既出の作品と整合性が取れていない部分もいささか見受けられるようだが、まあ、重箱の隅をつつくような文句はともかく、今作では、二十三歳になった阿良々木暦の語りで、物語シリーズの愛すべきキャラクターたちのその後が、新キャラを交えつつ描かれている。今後物語シリーズが『大人編』に移行して続編が描かれるのかどうか、現時点では定かではないが、このまま終了しても構わないくらいの“結び”には到達したのではないかと思う。
業物語
残酷童話「うつくし姫」:ヒロイン本に次ぐ再録だが、残念なことに1箇所誤植があった。8ページ後ろから2行目、「そして」の「し」が抜けている。 あせろらボナペティ:構成が上手い、面白い。時系列が少しだけ前後し、そして、話が進むに連れてどうなっていくのだろうと、先を知りたい期待感を膨らませてくれる。それにしても、後に忍野忍となる人物の、キャラが全く違うのが興味深い。何百年も生き続ける前の、しかも吸血鬼になる前だから、阿良々木暦はおろか、吸血鬼の“親”というか“主”に当たるスーサイドの性格の影響も受けていないからだろう。そして、最後の最後に、小説ならではというサプライズが。 かれんオウガ:何だか難しいテーマに挑んでしまったなという感じがしないでもない、火憐ちゃんも西尾維新先生も。そして、忍ちゃんも大活躍。後半にまたもサプライズが。火憐ちゃんの「偽物語」以来の決め台詞にも心が震えた。ところで、忍の、暦を呼ぶ時の二人称が『うぬ』に戻っている。現在進行中の劇場版アニメ「傷物語」に影響されただけ(つまり西尾先生の勘違い)なのか、はたまた、別の意味があるのか? つばさスリーピング:見開きの挿絵、CMで予め見ていないと、中央の二人組みの姿に気付けないのが惜しい。で、本編。意外な既知の登場人物が出る。更に、「傷物語」にて起こった出来事の影響が、あっと驚く形で現れる。 総評:いずれも趣向を凝らし、サプライズが用意されている。長く続いている「物語シリーズ」だが、まだまだ西尾維新先生の引き出しのネタは尽きないようだ。
愚物語
今作は、物語シリーズオフシーズン第1弾という位置づけになるようです。 「そだちフィアスコ」:老倉さんの独壇場に舌を巻きます。 「するがボーンヘッド」:神原さん、高校三年生の夏休み、まだ怪異との奮闘は終わっていません。 「つきひアンドゥ」:抱腹絶倒! まあ、「怪異は語り部になれない」なんていうのは、別段御破算にしても構わないルールでしょうね。面白ければいいんです。彼女の視点なればこその訴求力だと思います。 全編通して、あの人やあの人とかの近況もちらほら散見できます。
夏目友人帳 19
七十四話:柴田くん再登場。また一人愉快な友人が増えました。ラストのオチも良い。七十五話:泣ける。七十四話が人間の友人達と、七十五話は妖しの友人達と、力を合わせて奮闘するお話。七十六話:私の記憶に間違いがなければ、シリーズ中で最も表情豊かなレイコさんと出会えるエピソードかもしれません。七十七話:的場一門に協力する羽目になる夏目。人間とも妖とも付き合い方が上手くなってきている夏目ですが、祓い屋はそこら辺りの境界線があやふやというか、的場や七瀬たちすら妖怪じみているといった感じで、妖しくていささか不気味です。今後の展開を示唆する要素も少しずつ少しずつ盛り込まれております。
終物語 (下)
ネタばれなしで感想を書くのはちょっと難しいかも。敢えて一言で述べるなら、「阿良々木くんはやっぱり阿良々木くんだ」と言った感じになるのでしょうか。あと、これは全くの余談なんですが、今回の話、「ドラゴンボール」に出てくるナメック星人のデンデを連想してしまいました。え? 誰のことかって? いやいや、勿論ネタばれ厳禁です。まだ謎の全てが解き明かされていないような気がします。だからこそ、「続・終物語」に続くんだろうけど。