最終巻にして最も危険度の高い事件。 本来のナルであれば絶対にこんな危険は犯さないはずなのだけれど、複数の要因が重なって、SPR関係者全員死亡の一歩手前まで行く事態に。 小野不由美の本領発揮というか、彼等を追い詰めるのはわかりやすい脅威ではなくて、それこそが怖い。 意識の底にするりと滑り込んでいくひやりとした恐怖は、読者にしか知覚できない。 前巻までの「危険」が「登場人物達にとって」とてもわかりやすかった分、その落差にぞっとするのです。 今回の相手には悪意が全く無い。これまでで最も愛に満ちた優しい想いが周囲を恐怖に突き落とす。故にこそ、麻衣のみが、すべてを解決する切り札となれる。 ごく普通の、ちょっと特殊な霊能力のある女子高生、という自己認識一人称でミスリードされてきた麻衣の真価が発揮されるのは、おそらく、文末最後の一行。 すべての謎が明かされたどんでん返しの末に、この言葉を口に出来る彼女は、SPRに絶対に必要な存在だった。 ラスト一行、女子高生の恋を軸に描かれてきた「悪霊シリーズ」が、そこから決別し、プロフェッショナルな「ゴーストハント」シリーズへと移行する為の、見事な一文だったと思います。 だからこそ……だからこそ! 続編がたった一作で終わってしまったことが、心底悔やまれます。 恋を軸にした少女小説を好きだった人が、「悪夢の棲む家」を受け入れられなかったのは、わかる。わかるんですが、私は、ホラーを科学的に解析し理論で理解しながら同時に人の感情や思念、念力といった超常現象と融合させる、そんなSPRのゴーストハントシリーズを、もっと読みたかったです。 形としては完結した話ですし、作者さんにももう意欲が失われていると思われるのですが、それでも、ゴーストハントシリーズの続きがいつか出てくれれば良いなと思います。 死ぬまで何十年でも待っています。 いつか作者さんがふっと、また書いてみよう、と思ってくれますように。
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ゴーストハント7 扉を開けて
最終巻にして最も危険度の高い事件。 本来のナルであれば絶対にこんな危険は犯さないはずなのだけれど、複数の要因が重なって、SPR関係者全員死亡の一歩手前まで行く事態に。 小野不由美の本領発揮というか、彼等を追い詰めるのはわかりやすい脅威ではなくて、それこそが怖い。 意識の底にするりと滑り込んでいくひやりとした恐怖は、読者にしか知覚できない。 前巻までの「危険」が「登場人物達にとって」とてもわかりやすかった分、その落差にぞっとするのです。 今回の相手には悪意が全く無い。これまでで最も愛に満ちた優しい想いが周囲を恐怖に突き落とす。故にこそ、麻衣のみが、すべてを解決する切り札となれる。 ごく普通の、ちょっと特殊な霊能力のある女子高生、という自己認識一人称でミスリードされてきた麻衣の真価が発揮されるのは、おそらく、文末最後の一行。 すべての謎が明かされたどんでん返しの末に、この言葉を口に出来る彼女は、SPRに絶対に必要な存在だった。 ラスト一行、女子高生の恋を軸に描かれてきた「悪霊シリーズ」が、そこから決別し、プロフェッショナルな「ゴーストハント」シリーズへと移行する為の、見事な一文だったと思います。 だからこそ……だからこそ! 続編がたった一作で終わってしまったことが、心底悔やまれます。 恋を軸にした少女小説を好きだった人が、「悪夢の棲む家」を受け入れられなかったのは、わかる。わかるんですが、私は、ホラーを科学的に解析し理論で理解しながら同時に人の感情や思念、念力といった超常現象と融合させる、そんなSPRのゴーストハントシリーズを、もっと読みたかったです。 形としては完結した話ですし、作者さんにももう意欲が失われていると思われるのですが、それでも、ゴーストハントシリーズの続きがいつか出てくれれば良いなと思います。 死ぬまで何十年でも待っています。 いつか作者さんがふっと、また書いてみよう、と思ってくれますように。