後生掛温泉・宿泊記
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はじめに

秋田県鹿角市、八幡平の山懐に抱かれた後生掛温泉は、「馬で来て足駄で帰る」と謳われるほどの療養効果で知られる名湯である。今回、念願叶って一泊二日でこの秘湯を訪れることができた。

アクセス

盛岡駅から車で約1時間30分、最後の20分ほどは山道を登る。途中、八幡平の雄大な景色が車窓に広がり、期待が高まる。後生掛温泉旅館の看板が見えた時は、まさに秘境に辿り着いたという感慨を覚えた。

到着と第一印象

旅館は木造の趣ある建物で、玄関には湯治客の下駄が並んでいる。フロントでの受付では、温泉の効能や入浴方法について丁寧な説明があった。部屋は質素だが清潔で、窓からは硫黄の煙がもくもくと立ち上る地熱地帯が一望できる。

温泉体験

大浴場「神経の湯」

最初に向かったのは名物の「神経の湯」。泉質は硫黄泉で、独特の白濁した湯が特徴的だ。湯温は42度ほどで、じっくりと身体を温めることができる。15分ほど浸かっていると、日頃の疲れが溶け出していくのを実感した。

露天風呂「眼っこの湯」

夕暮れ時に入った露天風呂は格別だった。眼病に効くとされるこの湯は、硫黄の香りが強く、まさに大地の恵みを感じる。星空を眺めながらの入浴は、都市部では味わえない贅沢な時間だった。

泥湯体験

後生掛温泉の名物である泥湯も体験した。天然の泥を全身に塗り、しばらく置いてから洗い流す。肌がつるつるになり、美肌効果を実感できた。

食事

夕食は山菜を中心とした郷土料理。特に印象に残ったのは、地元で採れた山菜の天ぷらと、八幡平ポークの陶板焼きだった。素材の味を活かした優しい味付けで、温泉で温まった身体にじんわりと染み渡った。

朝食も同様に地元食材を活かしたメニューで、特に地元産の米で炊いたご飯の美味しさは忘れられない。

周辺散策

翌朝、早起きして温泉周辺を散策した。地熱地帯では至る所から蒸気が立ち上り、硫黄の香りが漂う。自然の力強さを間近に感じることができる貴重な体験だった。

「泥火山」と呼ばれる小さな噴出口からは、ぼこぼこと泥が湧き出している。まるで地球の息遣いを感じているような不思議な感覚に包まれた。

湯治文化との出会い

滞在中、長期湯治で訪れている方々とも交流する機会があった。中には一週間以上滞在されている方もおり、温泉の効能について詳しく教えていただいた。現代の慌ただしい生活とは対照的な、ゆっくりとした時間の流れを感じることができた。

帰路にて

チェックアウト後、名残惜しさを感じながら後生掛温泉を後にした。「馬で来て足駄で帰る」という言葉の意味を、身をもって理解できた気がする。確かに到着時の疲れは嘘のように消え、足取りも軽やかになっていた。

まとめ

後生掛温泉での一泊二日は、身体だけでなく心も癒される素晴らしい体験だった。現代社会の喧騒を離れ、自然と向き合う時間の大切さを改めて実感した。

温泉の効能はもちろんのこと、この地に受け継がれる湯治文化、そして何より大自然の中で過ごす静寂な時間は、何物にも代え難い価値がある。

今度は季節を変えて、ぜひとも再訪したいと思う。きっとまた違った表情を見せてくれることだろう。後生掛温泉は、日本の温泉文化の真髄を感じることができる、まさに「秘湯中の秘湯」である。


温泉名:後生掛温泉
所在地:秋田県鹿角市八幡平
泉質:硫黄泉
効能:神経痛、リウマチ、皮膚病、眼病など
宿泊費:一泊二食付き 約12,000円〜