到着と第一印象
山間の静寂に包まれた料理旅館きぐすりやに到着したのは、秋の夕暮れ時でした。玄関に足を踏み入れた瞬間、木の温もりと畳の香りが心を落ち着かせてくれました。女将さんの丁寧なお出迎えと、スタッフの方々の心のこもったおもてなしに、長旅の疲れが一気に癒されていくのを感じました。
客室の趣
案内された客室は、伝統的な和の美しさを現代の快適さと調和させた、実に見事な空間でした。窓からは四季の移ろいを感じる庭園が望め、特に夕日が山々を染める様子は言葉では表現しきれない美しさでした。室内の調度品一つ一つに職人の技が光り、滞在中は日本の美意識の深さを改めて実感しました。
極上の料理体験
夕食 - 季節の会席料理
きぐすりやの名物である薬膳を取り入れた会席料理は、まさに芸術品のような美しさでした。
前菜
季節の山菜と地元の食材を使った前菜の数々は、一口ごとに山の恵みを感じさせてくれました。特に、自家製の胡麻豆腐と山うどの白和えは絶品で、素材の持つ自然な甘みが口の中で優しく広がりました。
お椀物
澄み切った出汁に浮かぶ筍と若布のお吸い物は、春の訪れを告げる一品。出汁の上品な味わいは、きっと昆布と鰹節を丁寧に引いたものでしょう。
お造り
地元の川魚と近海の新鮮な魚介のお造りは、それぞれの魚の個性を活かした見事な包丁仕事でした。わさびも自家製で、鼻に抜ける香りが魚の美味しさを一層引き立てていました。
炊き合わせ
薬膳の思想を取り入れた炊き合わせでは、体を温める根菜類と季節の野菜が絶妙なバランスで調理されていました。一つ一つの野菜が持つ栄養と薬効を考え抜かれた構成に、料理長の深い知識と経験を感じました。
焼き物
地元で採れた山女魚の塩焼きは、皮はパリッと、身はふっくらと焼き上げられ、川魚特有の繊細な味わいを堪能できました。
ご飯・汁物・香の物
土鍋で炊かれた地元産のお米は一粒一粒がふっくらとして、噛むほどに甘みが増します。赤出汁の味噌汁と自家製の漬物で、心も体も満たされる締めくくりでした。
朝食 - 体に優しい和朝食
朝食も薬膳の考えを取り入れた、体に優しい献立でした。焼き魚、出汁巻き玉子、季節の煮物など、どれも丁寧に作られており、一日の始まりにふさわしい滋味深い味わいでした。
温泉とくつろぎの時間
食後は館内の温泉でゆっくりと体を休めました。源泉かけ流しの湯は肌に優しく、日頃の疲れを芯から癒してくれます。露天風呂からは満天の星空が望め、都会では味わえない贅沢な時間を過ごすことができました。
おもてなしの心
滞在中、スタッフの皆様の細やかな気遣いに何度も感動しました。料理の説明から地域の歴史まで、豊富な知識と温かい人柄で接してくださり、単なる宿泊以上の価値ある体験をさせていただきました。
心に残る朝の散歩
翌朝は早起きして旅館周辺を散歩しました。朝靄に包まれた山々と清らかな川のせせらぎ、野鳥のさえずりに包まれながら歩く時間は、都市生活では決して得られない貴重なひとときでした。
総括
料理旅館きぐすりやでの一泊は、日本の伝統的なおもてなしの心と、薬膳という先人の知恵、そして自然の恵みを存分に味わえる、まさに「心と体の栄養補給」ができる場所でした。
料理の一品一品に込められた想い、スタッフの皆様の温かいおもてなし、そして自然に囲まれた静寂な環境が三位一体となって、忘れられない宿泊体験を提供してくれました。
また季節を変えて訪れ、その時々の旬の味覚と自然の美しさを楽しみたいと心から思います。きぐすりやは、現代人が失いがちな「ゆとり」と「本物の贅沢」を教えてくれる、特別な場所です。
宿泊日: 2024年10月中旬
評価: ★★★★★
再訪希望度: 非常に高い

