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桂米朝の落語は、速記、本人執筆による論文、エッセイが数多く刊行されている。それらは落語という芸能全体について後世に遺される貴重な資料となっている。筆者は中学生のころラジオ番組のリスナーとして米朝と出会い、その後、門人の桂枝雀に台本を提供したことから、米朝からも親しく教えを受ける機会を得た。「桂米朝落語研究会」の反省会、米朝が一門の落語を聞いた後、丁寧にダメ出しをしていた場などにも同席、教えの一部を垣間見、ノート10冊に書き留めた。上方落語中興の祖・桂米朝の芸談、ネタや本人にまつわるエピソード、古い芸人たちの思い出話などを、演題解説とともにつづる。また米朝の、活字、音源、映像についての莫大な資料情報も掲載。
レビュー(7件)
奥が深い米朝師匠の懐
上方落語復興の四天王の一人桂米朝師匠について、他の本にも書かれている米朝落語の奥深さが垣間見えるエピソードも見られます。そのようなエピソードはほんの一握りの量で、戦後の日本の社会情勢、終戦直後の日本人の生活、今に続く戦前からの文化、今は途絶えた生活習慣や文化などが縦糸横糸として織り込まれた、著者の小佐田氏とともに米朝落語内願する文化論を堪能できます。
ありし日の師匠の姿が偲ばれます。
米朝一門と大変親しい著者ですので、安心して読めました。枝雀、吉朝が師匠より先立たれたのは、かえすがえす師匠はもとより、上方落語にとっても大きな痛手であったとひしひしと伝わってきます。 ただ、ひとつ残念なのは、米朝精選40席の目次の掲載ですが、各演目の掲載ページがありません。いちいち捜さなくてはならないので、とっても不親切です。よって評価もマイナス2ポイントの3点です。
面白い、興味深い内容一杯。
枝雀さんとの逸話を収集した前作も中々興味深いものでしたが、米朝師匠の話しは全く違う世界を観ることができて、その内容を、したり顔で人に話したくなるものです。米朝さんの世界、師匠の先代米團治師からの継承も結構あるんだと実感するエピソードも満載です。