人間には、言語の背後にあって言語化されない知がある。「暗黙知」、それは人間の日常的な知覚・学習・行動を可能にするだけではない。暗黙知は生を更新し、知を更新する。それは創造性に溢れる科学的探求の源泉となり、新しい真実と倫理を探求するための原動力となる。隠された知のダイナミズム。潜在的可能性への投企。生きることがつねに新しい可能性に満ちているように、思考はつねに新しいポテンシャルに満ちている。暗黙知によって開かれる思考が、新しい社会と倫理を展望する。より高次の意味を志向する人間の隠された意志、そして社会への希望に貫かれた書。新訳。
レビュー(58件)
社会科学の哲学的基盤を求めて
カント哲学を押さえた上で読んでみると、ポランニーがなぜ本書の中でこのようなことを述べているのか、その理由がよくつかめます。 暗黙知という概念は分かっていても社会科学ではモデル化したがる傾向があるので軽視されやすいところがあります。 社会科学の自然科学化に警鐘を鳴らす良本だと思います。
主人に頼まれて
主人に購入を頼まれ、私はよく分からないので、★3つで。 主人が何か感想を言えばまた追記したいと思います。
わかっているようでわからない
正直言ってこれを呼んで素直に理解できる人はごく少ないでしょう。まったく哲学の世界ですから。生理学的な部分もありますが、もっと噛みくだいたものを呼んだほうが良いでしょう。著者が研究したものですから、それにどうこう言えませんが、凡人ではあまり理解できそうもありませんね ただ、テーマ自体は知的財産の継承について現在非常に重要視されていることは間違いないでしょう
読むのに苦労しましたが、なるほどねえと思えるところ多数。どうしてもわからないところはイメージで把握。第1章は特にお勧めです。
暗黙知とは言葉には出来ないが、知っている事だというのだ。直感、勘等(おそらく無意識も)がそれに当たる。そして、それらは肉体を通じて得られる外界対して、いろいろな場で転換し階層としながら作りあげたものだ。そして、たぶん著者は根源には宇宙の意思ともいうべきもの(宇宙が生成し維持している根本法則とでもいうのだろうか)を想定しているように思う。進化自体が暗黙知を具現化していく道筋であり、方法であろう。著者は暗黙知を通じて宇宙を解明しようとする。まさに暗黙知の次元でなのだが、これは終わることのない永遠の円を作り上げて行くことになりはしないだろうか。