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沖縄の夜間中学で化学を教えることになった著者。生徒の多くは戦争で学校へ行けなかった、おばあたちだった。化学式や計算ではなく、料理から化学変化とは何かを学び、石けんづくりから酸とアルカリの性質を知るーーおばあたちの昔話も飛び出して、化学の世界が実体験と重なってゆく。楽しい授業へ、めんそーれ(いらっしゃい)! はじめにーー60年間,まちかんてぃ [1時間目] 料理から化学ーー肉じゃがをつくる ものを小さく,くだいていくと/もどる変化ともどらない変化 《コラム》 元素 ★メモ [2時間目] 身近な実験ーーロウソクの化学 灯(あか)りの思い出/ロウソクをとかす/ロウソク実験/鉄を燃やす ★メモ [3時間目] 化学反応ーーホットケーキはなぜふくらむの? 酸化(さんか)って悪いもの?/炭たん素その酸化/ホットケーキを化学する ★メモ [4時間目] たたくと延びるーー金属の3大性質 足元の土や砂から/金属ってどんなもの?/金属はたたくと延(の)びる ★メモ [5時間目] 電気を通す液体ーーコーラって電気を通す? コーラって電気を通す?/豆腐を固めるはたらき ★メモ [6時間目] 金属と金属じゃないものーー世界の3大物質 失敗の授業/世界の3大物質/金属をたたくと延びるわけ 《コラム》 原子のつくり [7時間目] 塩と砂糖はどうちがう?--「とける」と,「燃える」 塩は燃えかす/砂糖は燃えるか?/砂糖の実験 ★メモ [8時間目] 砂糖の仲間ーーカロリーゼロのひみつ 砂糖の仲間/カロリーゼロのひみつ/ヘビ毒の作用 ★メモ [9時間目] イモの思い出ーーデンプンのいろいろ 昔の食事はイモばかり/デンプンのいろいろ/デンプンの分解物 ★メモ [10時間目] デンプンの仲間ーーこんにゃくをつくる ドングリのデンプン/マンナンとセルロース/こんにゃくの思い出 ★メモ [11時間目] タンパク質をさぐるーー小麦粉からガム 樹液の味/小麦粉からガム/化学肥料の発明 ★メモ [12時間目] 牛乳の不思議ーーコロイド 「とけている」と「混ざっている」/牛乳からチーズをつくる ★メモ [13時間目] 油は油と混ざるーー油の仲間調べ 油クイズ/石油の仲間/油と油は仲がいい ★メモ [14時間目] 石けんをつくろうーー油とアルカリ 廃油石けんづくり/油とアルカリ ★メモ [15時間目] 化学は「もの」の学問ーーくらしの知恵とのかかわり 食べ物の色/化学は「もの」の学問 あとがき
レビュー(14件)
小中学生と先生にぜひ読んでほしい本です
夜間中学校というと、義務教育も満足に受けられなかった知識のない人たち、といった偏見がどこかにありました。しかし、この本に出てくる中学生は、学校教育を十分に受けられなくて教室での知識はなくても、素晴らしい人生経験の中に化学の基本を学んできた人たちでした。「蒸留」の言葉や原理は知らなくても、泡盛の工場で働いている、ものの燃焼は何なのか知らなくても、ろうそくで灯かりをともす生活をしてきている。炭酸水素ナトリウムの熱分解の仕組みは知らなくても、サータアンダギーをベーキングパウダーで膨らませて上手に揚げて作っている。まさに生活の中の化学を長年実践してきている大ベテランの人たちです。その経験を学問で裏打ちする、そんな授業でした。 最近の小中学生の中には「何のために理科を勉強するのかわからない」という子がいます。そうした子に迫られて絶句する若い理科の先生もいると聞きました。そう言った生徒や先生に、ぜひこの本を読んでもらいたい。理科は普段の生活の中にいくらでもある。それに気づくかどうか。気づけば理科の面白さにも大切さも認識できるだろう、ということがこの本を通じて思ったことです。
中学生の子供に買いましたが、大人が読んでも面白いです!