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▼第1話/欅の木▼第2話/白い木馬▼第3話/再会▼第4話/兄の暮らし▼第5話/雨傘▼第6話/絵画館付近▼第7話/林を抜けて▼第8話/彼の故郷 ●あらすじ/独力で築き上げた会社の第一線から退き、念願の庭付き住宅を手に入れた原田夫妻。しかし、以前訪れた際に惚れ込んだ庭の木々は、一本の大きな欅を残すばかりで、そのほとんどが姿を消していた。近所中に葉を落として迷惑をかける大きな欅はすぐ切り倒すことができず、途方に暮れていた原田夫妻だったが、4月になると美しい新芽をつけることを発見し、2人で眺めることが日課となっていた。そんな春のある日、熱心に庭をのぞき込む、見知らぬ老人が現れて…(第1話)。 ●本巻の特徴/市井に生きる人々の哀歓を描き、読書人の絶賛を集める内海隆一郎珠玉の連作「人びとシリーズ」。200編あまり書かれたその中から、谷口ジローの心の琴線に触れた8編を完全コミック化!
レビュー(7件)
心にしみる
私は谷口ジローさんのハードボイルドタッチの作品のほうがどちらかというと好きで、静かなタッチは「夏目漱石物」や「センセイの鞄」をのぞけば、好きではあるが熱狂的というほどはない、けれどこの本の出てくる人々の話はどこか身近に感じ、自然と心にしみてくる、彼・彼女らの気持ちがよくわかる、僕が年を喰ったということなのだろうか、とにかくよい本であることに間違いはない。
じわじわと感動させてくれます
8篇の中から私のベスト2は「再会」「彼の故郷」です。どちらも熱いものが込み上げて来る秀作です。 ここ最近、「ブランカ」「神の犬」「父の暦」と谷口ジローの作品を読み続けています。 その中でも「父の暦」と並び地味な作品ではありますが、じわじわと感動させてくれます。 それにしても木や林の描写は細やかで大変な作業だろうなと思ってしまいます。 新しい作品とはもう出会う事はありませんが、彼が残した作品をこれからも読み続けたいと思います。