高校の先生のお勧めということで。 受験生なのに、気がつくと本を手に取ってます。 受験勉強の息抜きになるような、軽い内容ではなさそうですが? とても引き込まれてます。,実に面白い本でした。科学と宗教はおよそ関係なさそうな分野ですが、著者の佐々木閑氏は物理学、進化論、数学の歴史を科学と宗教の観点から説明し、最後に仏教の話が語られ、その中で科学と仏教の意外な共通点が明かされることになります。 著者の佐々木氏は京大の工業化学科と哲学科仏教学を専攻し、UCバークレーにも留学した国際派の先生で、花園大学文学部の教授となった方です。理系の素養も持ち合わせておりますが、本書は仏教学者の視点で書かれております。 約250ページ中の前半150ページ以上が物理学、進化論、数学の歴史と宗教の関係に割いており、ここに登場する宗教は殆どがキリスト教であり仏教は全く登場しません。 キリスト教は神が万物を創造し、神のお創りになった世界は「こうあるべしという直覚的な世界」であり、神が絶対的な超越者です。したがって、物理学、進化論、数学の歴史の中で「こうあるべしの直覚的な事象」と反する修正が出てくるたびに、神の視点が否定され、人間の新たな視点へ移行します。それはキリスト教の世界からすれば「人間化」であり、堕落したとさえ解釈されました。 しかしながら、科学は物質世界の真の姿を追い求めているうちに神の視点を否応無く放棄せざるをえず、神なき世界で人間のみを拠り所に納得できる物質世界観を作らなければならなくなったわけです。 そして、仏教の登場となります。もちろん、期待を持って読み進めました。仏教について殆ど何も知らなかったので、あらましが良く分かりました。 大きくは小乗仏教と大乗仏教があり、小乗仏教には絶対神がいない。世の中の現象は法則性に生起しており、それを司る超越者がいいると想定する必要はない。これが本来の仏教の世界観だということです。科学は外部の物質世界を純粋に法則性によって理解することで向上するものであるから、ここで科学と仏教の視点が合致するわけです。 あとがきに、真理の発見ほど素敵なことはない。スケールは違っても自分で真理を見つけることは最高にエキサイティングで人生の生きがいである。科学も仏教も、一人行く勇者の世界である。そこには本当のカッコよさがあり、カッコよくない人生なんか、絶対選んではいけない。と結ばれています。,ずっと以前から欲しいと思っていました。内容は難しい仏教の本です。たまたま 見つけたので思い切って買いました。,著者は仏教関係の方ですが、この本は科学に通じる話から始まり、仏教に収束する内容です。たいへん興味深く読みました。
レビュー(16件)
息子に頼まれて
高校の先生のお勧めということで。 受験生なのに、気がつくと本を手に取ってます。 受験勉強の息抜きになるような、軽い内容ではなさそうですが? とても引き込まれてます。
「犀の角たち」科学と宗教の関わりとは
実に面白い本でした。科学と宗教はおよそ関係なさそうな分野ですが、著者の佐々木閑氏は物理学、進化論、数学の歴史を科学と宗教の観点から説明し、最後に仏教の話が語られ、その中で科学と仏教の意外な共通点が明かされることになります。 著者の佐々木氏は京大の工業化学科と哲学科仏教学を専攻し、UCバークレーにも留学した国際派の先生で、花園大学文学部の教授となった方です。理系の素養も持ち合わせておりますが、本書は仏教学者の視点で書かれております。 約250ページ中の前半150ページ以上が物理学、進化論、数学の歴史と宗教の関係に割いており、ここに登場する宗教は殆どがキリスト教であり仏教は全く登場しません。 キリスト教は神が万物を創造し、神のお創りになった世界は「こうあるべしという直覚的な世界」であり、神が絶対的な超越者です。したがって、物理学、進化論、数学の歴史の中で「こうあるべしの直覚的な事象」と反する修正が出てくるたびに、神の視点が否定され、人間の新たな視点へ移行します。それはキリスト教の世界からすれば「人間化」であり、堕落したとさえ解釈されました。 しかしながら、科学は物質世界の真の姿を追い求めているうちに神の視点を否応無く放棄せざるをえず、神なき世界で人間のみを拠り所に納得できる物質世界観を作らなければならなくなったわけです。 そして、仏教の登場となります。もちろん、期待を持って読み進めました。仏教について殆ど何も知らなかったので、あらましが良く分かりました。 大きくは小乗仏教と大乗仏教があり、小乗仏教には絶対神がいない。世の中の現象は法則性に生起しており、それを司る超越者がいいると想定する必要はない。これが本来の仏教の世界観だということです。科学は外部の物質世界を純粋に法則性によって理解することで向上するものであるから、ここで科学と仏教の視点が合致するわけです。 あとがきに、真理の発見ほど素敵なことはない。スケールは違っても自分で真理を見つけることは最高にエキサイティングで人生の生きがいである。科学も仏教も、一人行く勇者の世界である。そこには本当のカッコよさがあり、カッコよくない人生なんか、絶対選んではいけない。と結ばれています。
欲しかった本です。
ずっと以前から欲しいと思っていました。内容は難しい仏教の本です。たまたま 見つけたので思い切って買いました。
著者は仏教関係の方ですが、この本は科学に通じる話から始まり、仏教に収束する内容です。たいへん興味深く読みました。