ペシミズムとは「生きる知恵」である 「ペシミストたちの王」シオラン。この陰鬱な思想家の思索と執筆は、つねに厭世的なことがらに捧げられてきた。怠惰、死、自殺、憎悪、衰弱、病気、人生のむなしさ、生まれてきたことの苦悩……。ことほどさように、シオランは「暗い」。しかし、あるいはだからこそ、彼の清々しいほどに暗い言葉の数々は、生まれ生きることに苦しみを抱く私たちが人生を楽にし、生き延びるために役に立つ。本書は、気鋭のシオラン研究者が、彼の言葉と時に批判的に伴走しながらその思想をひもといた、待望のモノグラフである。いまこそ読まれるべき、魅惑的な思想家のすべて。
レビュー(43件)
シオラン思想の全容に迫る力作
ショーペンハウアーとニーチェの流れを汲み、徹底したペシミストで辛烈なアフォリズムで有名なシオランについては私も多くの著作を読んできましたが、この大谷氏の著作ほどその生涯と日本ではほとんど知られていないルーマニア語による著作の紹介も充実していて、シオランの全容を把握するには専門書をも超える最適の入門書であると思います。 シオラン思想が初めての人も、愛読者もぜひ読まれることをお勧めします。
カウンセリングをする人の読む本で、生まれてきたことが苦しい自分が読む本ではありませんでした。