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社会科学とは社会について研究する学問であり、政治学、経済学、社会学、人類学、国際関係論などが含まれる。その古典を読み返したところで、当時とは時代が違うのだから役に立つことはないと思われるかもしれない。 ところが驚くべきことに、現代を理解するためにはこれらの古典の知見について知る必要があり、さらに言えば現代で起こる様々な失敗は、古典の知恵を知らないために起こったものが多い。組織が官僚化することによる停滞、「抜本的な改革」に潜む罠、株式市場を活性化させることの危険性……。「教養にして実用」である社会科学の知見を明快に解説。 【本書で取り上げる社会科学の古典】 ●マックス・ウェーバー「官僚制的支配の本質、諸前提および展開」 ●エドマンド・バーク『フランス革命の省察』 ●アレクシス・ド・トクヴィル『アメリカの民主政治』 ●カール・ポランニー『大転換』 ●エミール・デュルケーム『自殺論』 ●E・H・カー『危機の二十年』 ●ニコロ・マキアヴェッリ『ディスコルシ』 ●J・M・ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』
レビュー(16件)
社会科学分野の基礎として必読の書と言っても過言ではない。日本のメディアや御用学者がいかに出鱈目をばらまいているかがよくわかる。
平易な言葉での社会科学の入門書!?
社会科学の古典の論旨などかいつまんで説明しつつ、現代の社会問題に対する政策などの有用性(というより主に失敗)を分析するといった形式の本です。割と新しい研究に即した具体例が適宜引用されて説明があるのでいろいろ納得できるほか、社会科学的な理論の使いかたを習うことができるのかもしれない。込み入った長い議論はほとんどなく、内容を見失うことなく気楽に読み進めそうです。一方で、グラフや表はいっさい無いようなので、自分で概念図をつくってまとめたり、キーワードやら数値やらを表にしてみたりすると、整理すると内容も深く理解できた気になって丁度良いかとおもう。もっとも、ある程度の政治や経済に関する知識がないとピンとこないところも多いかもしれません。 紙の本としては、装丁が割とめだつ良い感じであり、手にもった触感もよかった。新書サイズですが、予想より文字は大き目で内容も軽い感じ(著者の他の本よりも)でした。実は「文字が小さく内容的には(引用文献が多数の)学術書」という形式のものを期待していたのですが、この点は予想がはずれたのでした。これまで読んだ、中野剛志さんの著書はどれも面白かったし、本書も例外ではないとおもう。どうも「奇跡の~」というシリーズは比較的軽めという印象です。それでも多数回読み返すことで、いろいろ見えてくるので繰り返し読むのがよいとおもう。
今こそ読むべき古典への絶妙な誘い
最近、昔ちょっとかじった社会科学の古典を思い起こすことがちょくちょくあり、読み返してみたいとも思うのですが、なかなか取り掛かれずにいました。この本を知り、学びなおしのきっかけになるかも、と購入。最初から最後まで、そうだそうだ!そうだったのか!それで分かった!の繰り返しで、興奮冷めやらぬまま読了。著者が自らの「種明かし」と言うだけあって、たいへん優れた古典の案内だと思います。