男女の仲に関して、結婚に至るまでに各々の経緯で時間を要している状態に関して「永すぎた春」というような言い方は、現在に至っては然程頻出はしないかもしれないが、それでも現在も耳目に触れる場合が無いでもないと思う。その「永すぎた春」という表現の“源”は、華麗絢爛な文体で知られる、あの三島由紀夫が「発表当時に熱く広く迎えられた作品」に冠した題名に由来するらしい…些かの驚きも禁じ得なかったが、結婚に至る期間が事情で何となく長引いた状況を称して「永すぎた春」と表現するのは、本当に「巧い!!」のかもしれない… “春”というのは「何かが始まる」という感じだとは思う。婚約中の男女ということであれば、新しい家庭が築かれて行くという「始まり」という中に在るので“春”だ。そして何かが進展する“夏”や、何らかの成果のようなモノが視える“秋”となり、続く新たな展開に備える“冬”ということになるであろう。 本作の郁雄と百子とは、「何かが始まる」という感じの中に「とりあえず取り残されてしまっている?」という感だ。これが幸いなのか、不幸なのか、何とも名状し悪い。そんな状況の中で色々な出来事が在る。誰に憚るのでもなく「僕達は結婚します」と、何時でも何処でも一緒で何ら差支えない郁雄と百子となのだが、それでも各々や家族に色々と在るものなのだ。 若い2人の青春という感じの物語、または2人と家族や他の人達によるホームドラマという感じの物語になっている本作である。古くは、本作を原案とするテレビドラマも在ったらしいが、本当にそういう感じがする物語だった… 「三島由紀夫」とでも聞けば、衝撃的な最期の周辺の、何やら「難しい」というイメージも強いのかもしれないが、実は「愉しい小説で一世を風靡した人気作家」という色彩も濃いのである。そんなことにも気付かされる本作だ。 そういう他方、自身が日頃読む小説類の傾向を想うと「余り読まない類?」という気がしないでもなかったが…それでも何か愉しんだ!,本は薄いですが、 読み応えがありました。おもしろかったです。,映画の方に関心がありましたが、まずは原作からという事で購入しました。三島作品の中ではかなり読み易いと思います。 DVDでも観ましたが、矢張り小説の方が面白いですね。,もっと若いときに読んでいたら良かったなと思いました。昭和の始め頃の社会や、男女ってこんな風だったんだなと。主人公の恋愛の成り行きより、私はむしろ階級意識の残っている当時の社会の人々の考え方や生き方の方に、他の登場人物を通して、興味をそそられました。軽く読めましたが、三島由紀夫の小説はおもしろいです。
レビュー(128件)
男女の仲に関して、結婚に至るまでに各々の経緯で時間を要している状態に関して「永すぎた春」というような言い方は、現在に至っては然程頻出はしないかもしれないが、それでも現在も耳目に触れる場合が無いでもないと思う。その「永すぎた春」という表現の“源”は、華麗絢爛な文体で知られる、あの三島由紀夫が「発表当時に熱く広く迎えられた作品」に冠した題名に由来するらしい…些かの驚きも禁じ得なかったが、結婚に至る期間が事情で何となく長引いた状況を称して「永すぎた春」と表現するのは、本当に「巧い!!」のかもしれない… “春”というのは「何かが始まる」という感じだとは思う。婚約中の男女ということであれば、新しい家庭が築かれて行くという「始まり」という中に在るので“春”だ。そして何かが進展する“夏”や、何らかの成果のようなモノが視える“秋”となり、続く新たな展開に備える“冬”ということになるであろう。 本作の郁雄と百子とは、「何かが始まる」という感じの中に「とりあえず取り残されてしまっている?」という感だ。これが幸いなのか、不幸なのか、何とも名状し悪い。そんな状況の中で色々な出来事が在る。誰に憚るのでもなく「僕達は結婚します」と、何時でも何処でも一緒で何ら差支えない郁雄と百子となのだが、それでも各々や家族に色々と在るものなのだ。 若い2人の青春という感じの物語、または2人と家族や他の人達によるホームドラマという感じの物語になっている本作である。古くは、本作を原案とするテレビドラマも在ったらしいが、本当にそういう感じがする物語だった… 「三島由紀夫」とでも聞けば、衝撃的な最期の周辺の、何やら「難しい」というイメージも強いのかもしれないが、実は「愉しい小説で一世を風靡した人気作家」という色彩も濃いのである。そんなことにも気付かされる本作だ。 そういう他方、自身が日頃読む小説類の傾向を想うと「余り読まない類?」という気がしないでもなかったが…それでも何か愉しんだ!
本は薄いですが、 読み応えがありました。おもしろかったです。
映画の方に関心がありましたが、まずは原作からという事で購入しました。三島作品の中ではかなり読み易いと思います。 DVDでも観ましたが、矢張り小説の方が面白いですね。
もっと若いときに読んでいたら良かったなと思いました。昭和の始め頃の社会や、男女ってこんな風だったんだなと。主人公の恋愛の成り行きより、私はむしろ階級意識の残っている当時の社会の人々の考え方や生き方の方に、他の登場人物を通して、興味をそそられました。軽く読めましたが、三島由紀夫の小説はおもしろいです。