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問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!
問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!
レビュー(209件)
親父の描き方
私は文庫本の解説は読まない。しかし過去に一度だけ解説を読んだことがある。そこには柚月裕子は「親父の描き方が上手い」というようなことが記されていた。なるほどと思ったことを覚えている。本作も親父の描き方は絶妙であった。親父の心の動き、表情がはっきりと読み取れる。柚月裕子は類稀な作家である。
のんびりと読むつもりが、あっという間に読み進めてしまった。 満足!満足!
父子
岩手。南部鉄器の職人・小原孝雄は、問題を犯した少年・春斗を預かることになる。補導委託という制度だ。やってきた春斗は自転車盗や万引きで警察の世話になっているため、息子の悟は反対する。が、工房の職人や孝雄の娘らは更生に力を貸す。テーマは親子の愛か。序盤、まどろっこしさはあるが、終盤の盛り上げ方は、柚木氏ならでは。ただし「盤上の向日葵」や「慈雨」などに比べると幾分、劣る。
親父、分かるような気がします。そうなんですよ。そう。分かってもらえたのはよかっったです。