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庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。-綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。-綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。
レビュー(705件)
梨木香歩さんの作品を初めて読みました。 読み終えてしまうのが もったいないくらい 大好きな幻想世界でした。 家の周りをちょっとだけ観察したくなるような。
高堂家の庭に自分もいるようでした。河童や小鬼、カワウソといった、彼方の住人が行き交うことが普通である世界で、今日あったそれらとのエピソードを、隣の奥さんと、いたって普通に当たり前におしゃべりしているのがなんとも妙で面白くて。吉田伸子さんの言葉を借りると、私もこの本に呼ばれたのかもしれません。面白かったです。
なかなかよくできた話。
掛け軸の中の友人と交流する話です。あり得ないが、さほど違和感はなく、楽しめた。
とりわけ夏に、いい
誰でも一度は心惹かれたはずの、不思議なものとの、静かなふれあいがいいです。 裏表紙の紹介文のように、それらの本質が天地自然の「気」たちであるからこそ、愛でる人も愛でられる人も絶えないのでは。 読後、表紙のスズメがしゃべり出しそうに見えてきます(笑)
この世界に住みたいような
彼岸と此岸とがやわらかく交流しているような、全体に流れる空気の感じがとてもいいです。 妖怪であるとか植物であるとか動物であるとか人間であるとか、分け隔てをしない心持のやさしさがしみじみとよく、どこかとぼけた味わいも楽しくて、いつまでもこの世界に浸っていたくなり、何度も読み返しています。