それぞれの武将の分岐点となるような合戦を知りたくて購入しました。,伊東潤氏の小説は時々読む。伊東氏が歴史に関してよく勉強されていて、真摯に現地取材されていることが感じられる作品が多く、内容も面白い。この新書も期待して読み進めた。12の野戦が題材になっており、各合戦に伊東さんの考察が書かれていて興味深かった。中でも山崎の戦いや賤ヶ岳の戦いに関する考察は「なるほど!こういう解釈もあるかも」と新鮮な驚きを感じながら読んだ。ただ1つ、275ページの淀殿の感情の渦による大坂城の堀の早期埋め立て説は少々疑問を感じた。伊東氏も私見で、と前置きされているので重箱の隅をつつくような指摘になるが(笑)豊臣方家臣・関ヶ原以来不遇続きで巻き返しを狙う元大名や 浪人の中には、大坂の陣に全てを賭ける人達が相当数いたと思われる。その中で淀殿の精神的疲労を理由とする堀の早期埋め立てが強行されれば、実力行使に訴えてでも埋め立てに反対する大阪方の動きがあっても不思議ではなかったと思う。他、どちらかというと取り上げられる機会が少ない、沖田畷の戦い・摺上原の戦いが載っていたことも嬉しく理解が深まった。総体的に参考になることが多い書籍で、ポイントで挿入されている地図も分かりやすかった。伊東さんには将来、室町~織豊時代をメインとした、政争に視点をおいた書籍も書いてほしい。期待しています。今回も楽しく読了しました。
レビュー(11件)
合戦を知る
それぞれの武将の分岐点となるような合戦を知りたくて購入しました。
伊東潤氏の小説は時々読む。伊東氏が歴史に関してよく勉強されていて、真摯に現地取材されていることが感じられる作品が多く、内容も面白い。この新書も期待して読み進めた。12の野戦が題材になっており、各合戦に伊東さんの考察が書かれていて興味深かった。中でも山崎の戦いや賤ヶ岳の戦いに関する考察は「なるほど!こういう解釈もあるかも」と新鮮な驚きを感じながら読んだ。ただ1つ、275ページの淀殿の感情の渦による大坂城の堀の早期埋め立て説は少々疑問を感じた。伊東氏も私見で、と前置きされているので重箱の隅をつつくような指摘になるが(笑)豊臣方家臣・関ヶ原以来不遇続きで巻き返しを狙う元大名や 浪人の中には、大坂の陣に全てを賭ける人達が相当数いたと思われる。その中で淀殿の精神的疲労を理由とする堀の早期埋め立てが強行されれば、実力行使に訴えてでも埋め立てに反対する大阪方の動きがあっても不思議ではなかったと思う。他、どちらかというと取り上げられる機会が少ない、沖田畷の戦い・摺上原の戦いが載っていたことも嬉しく理解が深まった。総体的に参考になることが多い書籍で、ポイントで挿入されている地図も分かりやすかった。伊東さんには将来、室町~織豊時代をメインとした、政争に視点をおいた書籍も書いてほしい。期待しています。今回も楽しく読了しました。