少数派だと思いますが……

一気に読みましたが、”物語”が始まらずに終わってしまって拍子抜け。いろんな人の目から見た主人公を描くという手法の作品はいろいろあり、ラストに向かって予想外の真実が明らかになっていくことが多いのですが、これにはそういうカタルシスがありません。主人公のキャラクターがやや漫画的で出来過ぎていて一面的。BL好き、シンメ好きはハマるかもしれない。恩田先生の妄想バレエ舞台がオタクあるあるで面白かったけれども、とにかくその長い描写のせいもあり話が同じ場所で足踏みし続ける。前に進まない。人間関係で引き込むのかと思って一人目の語り手は面白く読んだのに、関係性が深まらない消化不良。嗚呼……。悲劇の天才というのではない作品を描きたかったのかなと思うのですが、それなら現実を見れば実際にすごい人たちが山ほどいらっしゃるわけで、稀代のストーリーテラーの恩田先生ならば、ぜひこの登場人物で展開するストーリーを読みたかった。(でも99%の人が素晴らしい作品と評価されているだけあり、1800円でこれだけの芸術的知識を享受できるのは贅沢だと思います)