バランスは取れた巻

戦闘場面と、物語の進展、回想場面、それぞれの量的にバランスの取れた巻だったかと思います。「アッカーマン」親族の背景も明かされて、その辺りは面白いのですが……。最初から、このような設定だったのだろうか、と考えてしまうのは穿ち過ぎかも知れない、確かに序盤からエレンの父親に関しては不穏な雰囲気があり、エレンがいわゆる「正義」ではないのではないか、という事はちゃんと匂わせてありましたから。それにしても、「巨人」がないがしろ(?)にされ、どんどん、「人間」の在り方に物語がシフトチェンジしているのは否めず、消化不良の感覚は拭えません。絵に関しては恐らくアシスタントを増やし、トーンを使ったり、動きのある部分は巧くなって来ているけれど、基本的なデッサンが全然ダメなのに、妙に大仰な表情ばかり描こうとするから、余計に読みづらいんですね。ともかく、物語として、きちんと「巨人」の謎、その存在への人間の思慮、を描ききって欲しい。序盤の、デビュー作家の初々しさはすっかり影を潜め、日本の漫画界を背負う人気を得た作品に、作家自身の力が追いついていない感じが非常に強いですが、期待を込めて☆4つ。