主人公の人格に変化あり

この本「果断」は「隠蔽捜査」の続編であるが、主人公の人格を著者が勝手に目立たぬように変えてしまった。「隠蔽捜査」の竜崎伸也は「果断」の竜崎伸也とは別人である。流し読みをしている方はお気づきにならないかも。 「隠蔽捜査」の竜崎伸也は、東大以外は大学ではないと子どもの頃からガリ勉をして東大法学部に入り、国家公務員1種試験に合格、警察庁に採用された(これが目標)キャリア公務員である。警察庁は最もキャリアとノンキャリアの昇進格差がある上に、その下にぶ厚い地方警察を擁する大組織の頂点に位置する庁である。彼は京大卒や私大卒のキャリアを徹底的に見下す、現代においては「古い」エリート意識を持つ人間である。「隠蔽捜査」では、その古いエリート意識を常に掲げる胡散臭い嫌味な警察官僚であった。 それが「果断」になって違った人格の、少し魅力のある人間に変わった。だから少しは読む気になる。しかし作家が無意識(?)に主人公の人格をかえてもいいのだろうか?その点が納得いかない。どうせなら筆記試験上手で実務はダメな、本当のキャリア官僚の姿を追求して欲しかった。残念。