自省させられた本

2年前に死んだ祖父を思い出した。-- わがままで強情、祖母が癌で亡くなってからはさらに無理を言うようになった祖父。 そんな祖父もほどなくして、癌を患った。 病院で検査が終わる頃にはもはや、手遅れだと判明。 部屋が暑いと文句を言う祖父に、僕はクーラーがよく効いた病室で何を言っているのだろうか と思い、取り合わなかった。 当時の僕は、周りに迷惑をかけていてなお文句ばかりを言う祖父が嫌いだった。 正直、早く死んでくれればいいとさえ思っていた。 祖父の体が動かなくなり、意識も朦朧とし始め、喋っている言葉も呂律が回らず、 僕たちが認識できなくなった頃から祖父はよく涙を流すようになった。-- 村山聖の言葉や態度には、そういった祖父の姿と少し重なって見えた。 そしてそんな村山に腹立たしく、苛立ってしまった僕は、当時の僕と何の変化も していないことに気がついた。 祖父の死に、僕の知る限り初めて涙を流す父を見て、何ともいえない気持ちになった僕は 祖父に対してぞんざいな態度をとっていた自分を反省したはずなのに、結局少しの改心も していなかったのだと。