「欲」と「義」と「憤」と「利」
TVドラマでよく観た関ケ原決戦。本年8月に完全映画化されたのがきっかけで、その原作である司馬遼太郎さんの著書を読んでみたくなり、上中下3巻を購入しました。
本書あらすじにあるように、秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか。映像だけではわからない家康、三成ら登場人物の信念や心の動きを知りたいですね。
上巻では、秀吉の死をきっかけに天下取りを真剣に考え始めた家康の数々の謀略により、三成が佐和山退隠に追い込まれるまでが描かれています。
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「欲」で動く家康と側近の本多正信の憎らしいまでの策謀の数々、これに立ち向かう「義」を重んずる三成、『大将の器にあらず』と公言しながらも、三成に付き従う島左近、三成に「憤」を抱く豊臣恩顧の加藤清正や福島正則ら、「利」で動く武将たち、これら登場人物の心の機微がうかがい知れて、とても面白かったです。『海千山千のベテラン政治家・家康とマジメな若手官僚・三成との闘いといった感じ。これじゃあ、三成負けるわなぁ』とも思いました。
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■本書の基本情報
・筆者:司馬遼太郎[シバ リョウタロウ]
・略歴:1923-1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。’93年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72歳。
・発行:新潮社
・発売:2017年7月(第115刷) *初版発行:1974年6月
・ページ数:539p
■これまでに購読した司馬遼太郎の著書
なし
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