むしろ小説に近い

実際に何が起きたのか、誰がどういう行動・発言をしたのか、ということを知りたくて読んだのですが、そしてそういう役割は果たしていると思うのですが、書き方がかなり小説寄りなのは予想外でした。 例えばコーネリアス・ライアンやジョン・トーランド、コリンズ&ラピエールといった人たちの第二次大戦ノンフィクションに比べるとはるかに感傷的です。 「歴史は涙によって新たに書き変えられつつあった」なんて、殆ど講談です。 各人物の人間味が感じられるのは良いのですが、当事者の心情みたいなことまで書かれていると「それは本人に取材できたのか?」という疑問が出てきます。 そもそもこの本がどういう経緯で作られたのか、誰に取材できたのか、できなかったのか、といったことが殆ど書かれていないので、読んでいて落ち着きません。 元になったという座談会の再現ドラマ『日本のいちばん長い夏』でも見れば少しはわかるのでしょうか。 また、異説のある点については章末に注釈があるのですが、本文では単純に「こうだった」という書き方をしているのも、「流れ」を中断させたくない、という小説家の考え方から来ているように感じました。 というように気になる点はあるのですが、敗戦前後の出来事に興味のある人なら興味深く読めると思います。