一般向けの入門書

「忘れられた日本人」=日本史の正史に登場しない人々、すなわち中央ではなく辺境に住み、自分からは文字で何かを書き遺すことのない人々への聞き取りを通して、生き生きと描き出した、著者の代表作である。 ただし、日本各地をくまなく歩いて聞き書きしたことをまとめたものなので、学問的に一般化するような試みはされていない。もっとも、こういう類の調査は、地域性、時代性が顕著に表れるものであり、いくつかの地域、年代で体系化、系統化された調査を行ってみないと、一般化は難しい。 そういう意味では、本書の事例のみから「日本人の原風景」とか「日本人の原点」とか言い切ってしまうのは言い過ぎ。 むしろ、私を含めた多くの一般人には、そういう生き方をした人がいたのだなぁという読み物として通読できるような作品である。民俗学や歴史学を学ぶ志のある者にとっては、物足りないのではないかと思われる。