有名な「…智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。…」の書き出しで始まる漱石初期の小説。青年画家はとある温泉場で那美という才気ある女と出会うが、彼の主義とする「非人情(不人情ではない)」から、二人の間で何かが起きそうで起きない。また、青年画家は絵を描くのが目的なのに、頭の中であれやこれや、時に妄想的な理屈をこねくり回しながら、何一つ作品をものにできない。那美と元夫との遣り取りが絡んで青年画家の目を通して物語は終わる。読み方によっては、芸術のための芸術を批判した作品と言えるかもしれない。