上橋節全開のエコロジカルファンタジー

まずは、久しぶりに2日間で上下800ページ超えを通読するほど面白かった。最近は歳のせいか長時間続けて読書をすると目が痛くなるので、せいぜい2時間が限度だったが、これに関しては無制限一本勝負、お陰で読み終わった後、目が痛くなったが、それなりの価値はあった。ストーリーは他のレビューでも述べられているが、特に秀逸なところは、生態系における食物連鎖と生物多様性について、問題となる要点をさりげなくおとぎ世界のストーリーの主題に織り込んでいる事。しかもその論点が21世紀で大問題になるであろう人口増加に伴う食糧危機に関しての稲の遺伝子改変(風な品種改良)、並びにグローバルな種籾アグリカルチャー・コンマグリットを彷彿とさせる支配国家の食糧政策と強く結びつき、それのちょっとした間違いで生態系(エコシステム)崩壊をもたらす危険性をかなり正確にかつドラマティックに描いている点であった。こんな、書き方をするといかにも硬い物語と思われると困るが、実際にそこは、この著者独特の上橋ファンタジックワールドのオンパレード。香君と言う、ある意味超能力保持者を中心としたドラマチックな展開をすらっと読み込ませてくれる。 更に、最後まで読むと、オヤ?、話の節々で、初代・香君の異世界からの出現、その後の数々の冒険談、悲しき恋物語が思わせぶりにほんの少しずつ、でもかなり頻繁に出てきているけれど、これって、多分、次作への伏線??ウヌ、上橋女史、お主もやるのう。。デモ、大歓迎!待ってます。 (追加) 世の中、エコシステムとかエコに基づいたSDGsと言いながら、その本質は何を勘違いしているのかエコロジーとはほど遠い、エコ(ノミック)システムによるSDGになっている昨今、この小説はそれらと違い正しくエコロジーとは何かを表現している数少ない物語である。