マタギを主人公とした小説がまず珍しい。
ストーリーでは、主人公は様々な人物との出会いを繰り返すなかで、人間としての成長していく。
我々が失ってしまった自然に対する身体感覚を主人公は持ち合わせている。この感覚を読書の中で味わうことが出来るのがこの作品の一つの醍醐味ではないか。
最後に待ち受ける壮絶な熊との闘い。しかし、そこには殺すもの、殺されるものを超えた互いを認め合う姿がある。自然の命を殺さなくては生きていけない人間ではある。動物もまた人間から身を守らねばならぬ。
しかし、その人間と動物が悲しくも調和できることを最後に教えてもらった。その光景は、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』を思い起こさせるものであった。
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