著者の少女時代をベースに、舞踊教師オリガにまつわる謎をスターリン時代の歴史的背景に重ねて解いていく、初の長編小説。読み慣れないロシア風の名前や、己のソ連の歴史の不勉強さに戸惑いながらも、いつの間にかこの謎解きに夢中になり、どんどん読み進めていく自分に驚きました。膨大な資料からこのように読み応えのあるフィクションを紡ぎだした点はもう「天晴れ」としか言いようがありません(反語法ではなく)。残念ながら著者はすでに鬼籍に入ってしまったので、これまた実在のアルジェリアの少年を基にした男の子の物語を予定していたのに、それが幻となり悔やまれます。