日本から、地理的には近くても心理的に遠かった、今はなきソビエト連邦の謎に包まれた生活がよくわかります。 ドラマティックな内容は、「ソ連版ワイルド・スワン」という 感じでしょうか。もう少し後の時代のソビエト学校 関係者のことを描いた同著者の「嘘つきアーニャ・・・」が ノン・フィクションで、こちらはフィクションとのことですが、 著者が生まれる前のソ連政治の出来事がよく調べ られ感心します。 唯一気になったのは、日本語特有の主語が省略された 文章で、主語が「私」なのか主人公の「志摩」なのかに、 最初のうち私はかなり混乱しました。 本は志摩を主語にした三人称の小説なのですが、 客観的な事実の描写が中心になっているのではなく、 主人公の気持ちなど内面についての描写が多いので、 「私」を主語にした一人称の小説を読んでいる気分に なってくるのです。その点で、満点からマイナス1点。