鬼気迫る圧巻の船戦

時は戦国、織田信長が天下統一を狙い、大坂本願寺を滅ぼそうと着々と準備を進める頃。乱世にその名を轟かせた海賊衆の村上海賊。瀬戸内海の島々に根を張り、三つの村上家の中で強勢を誇る能島村上家当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、その娘ヒロインの景(きょう)、二十歳。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女の景が活躍するシリーズ第4弾。(最終巻) 難波海での睨み合いが終わる時、夜陰に浮かび上がったわずか五十艘の船団。能島村上の姫、景の初陣である。ここに木津川合戦の幕が切って落とされた!煌めく白刃、上がる血飛沫。炸裂する村上海賊の秘術、焙烙玉。門徒、海賊衆、泉州侍、そして景の運命は―。 本巻では鬼気迫る圧巻の船戦が読み応えがありましたね。全巻読み終えた感想は、登場する人物の際立つ個性が面白い。正義感が強く、イケメン大好きのヒロインの景はもちろんですが、臆病なのに景を助ける弟の景親、織田方海賊衆の頭領で剛腕無双の眞鍋七五三兵衛、本願寺方一向宗門徒の百姓の源爺と孫の留吉が印象深かったですね。また所どころに織り交ぜた登場人物の簡潔な独白が、その人物の心情をうかがい知れ、いいアクセントになっていました。 確かな時代考証、史実に基づく木津川合戦がノンフィクション的で、現実感がありましたね。 ----- ◎本書の基本情報 ・筆者:和田 竜(ワダ リョウ) ・略歴:1969年12月、大阪府生れ。早稲田大学政治経済学部卒。2003年、映画脚本『忍ぶの城』で城戸賞を受賞。’07年、同作を小説化した『のぼうの城』でデビュー。 ・出版:新潮社 ・発売:2016年8月 ・ページ数:363p ◎これまでに購読した和田 竜の著書 ・「のぼうの城」(上下2巻) ・「忍びの国」 ・「小太郎の左腕」 ・「村上海賊の娘」…本書第3巻まで ----- ■題材となった木津川合戦とは 第一次木津川口の戦いで、1576年(天正4年)に毛利氏と織田氏との間に起こった戦い。 織田信長軍の攻囲を受ける石山本願寺への兵糧搬入を目的とした毛利水軍・小早川水軍・村上水軍を中心とする瀬戸内の水軍戦力と、それを阻止せんとする織田方の水軍戦力が大阪湾木津川河口で激突した。 実際の戦闘では毛利方の水軍の使用する焙烙玉・雑賀衆の使用する焙烙火矢の前に織田方の水軍は壊滅的な打撃を受け、石山本願寺への兵糧搬入という当初の目的を毛利方が果たす結果となった。