町田康氏のデビュー小説となった表題作は、仕事も辞め毎日ぶらぶら過ごしているうちに妻は出て行き、邪魔くさい金属製の大黒様を捨てに行く事からストーリーが展開する。大黒様を抱えて捨て場所に悩み、いざ捨てても大黒様とその置き場所周辺の視覚的バランスを考えてしまう主人公。それに友人・菊池が絡み、物語は思わぬ方向へ加速度を上げてドライブしていく。現実と狂気または妄想が、覚醒と朦朧の間を行き来するうちに、戻れない世界に落ち込んでいく。しかし主人公たちに自覚はない。独特の日本語感で笑いを誘う場面もあるのに、読後は背中が寒くなってしまった。