夏川氏ならでは

長野県の信濃山病院。県内で唯一、コロナウイルス感染者を受け入れている病院が舞台。主人公は消化器が専門の内科医・敷島寛治。守備範囲ではないものの、コロナに立ち向かう敷島を始めとする医師、看護師らの奮闘を描く。難病物は涙を誘うのが常だが、本作も例外ではない。いや、世間が今、コロナで切迫している時だけに、医師が書いた作品はリアリティに富む。行政、大病院、テレビなどへの不信、批判が盛り込まれているのも良い。夏川氏は本来「神様のカルテ」などのヒット・シリーズで知られる現職の医師だが、今回はテーマがコロナだけに従来よりも重みがある。タイムリーな出版を狙ってか、やや推敲不足の感は否めないが、こうした作品ならスルーして☆5