敗戦後のシベリアに抑留された日本人捕虜は六十万人。 収容所の数は一千二百か所。酷寒と飢えと重労働のせいで 亡くなったのは七万人を超える。 十二年・・・戦争を知らない私には到底想像も出来ない 長い長い地獄の日々。 そんな希望の光も見えないラーゲリ(収容所)にいながら、 いつも「もうすぐダモイ(帰還)が実現しますよ」と言って 皆を励ましていた山本幡男さんを中心に抑留中の人々のこと が書かれています。 ソ連に関する本を読んだことがある人なら、度々行われる ラーゲリでの拷問内容などを知っていると思います。 本書では重労働や拷問についての表現はかなり抑えられて いるように感じました。それでもあまりの理不尽さに読み ながら気分が悪くなってきます。 とてもショックだったのが、ソ連による洗脳。 民主運動を率先してやっている若い活動家たちによる 同胞に対する吊し上げ(リンチ)や密告など。 同胞すら信じることが出来ないなんて悲し過ぎます。 日本に帰ってからもスパイ活動をするように言われた人は かなりいたようです。 こんな絶望的な内容ではあるけれども、そんな中でもお互いに 助けあったり、囲碁・麻雀・将棋などを密かに作って遊んだり、 句会を開いたり、演劇や草野球などの活動もしていたと知った 時は少しだけ心が和みました。 最近は領土問題で騒がしくなっていますが、ネット上で 「もう、戦争しようぜ!」という言葉を軽々しく発言している のを見る度に頭が痛くなります。 それで例え勝ったとしても沢山の犠牲者が出るのは目に見えて いるし、負けたら「残念だったね~しょうがないから領土あげ るよ」という簡単なものでもない。捕虜になっても今時シベリア 抑留みたいな非人道的なことあるわけないじゃん!なんて考えて いるとしたら甘い、平和ボケしていると言わざるを得ないと思う。 二度と、決して戦争なんてしてはいけない、そう思います。