序盤の、師走の湯屋でお竹の背中を流す幸の、主従の会話を読むだけで涙腺が緩んでしまう。江戸店での勝負は時間との戦いでもある。手堅く、顧客本位の商売をする五鈴屋の店主・幸。月に一度の帯結び指南でのお才との出会いと、大坂の亀三のとり成す縁で歌舞伎役者・菊次郎から、中村富五郎へとつながる出会い。この縁が元となって作られた小紋染めが、やがて大輪の花を咲かせるように華やいだ場面へ! 我が事のように嬉しい読了だった。