美濃を攻略し、最愛の帰蝶を稲葉山城へ帰還させることができた。その後、足利義昭を伴い上洛し、将軍宣下を受けさせた。しかし、信長自身は官位官職にまったく興味がない。坂本龍馬に似た孤高感がある。サブタイトルの天下布武が、まだ天下統一の道半ばにある時点で使われたことのリスクを考えたことはなかった。楽市楽座の構想、ルイス・フロイスとの出会いと、次々に歴史の場面が現れるのが楽しい。信長の危機となった金ヶ崎の退き口。浅井長政が父・久政を抑えられずに信長を裏切り、お市の機転による密使に託した小豆が見せ場だ!
読み始めてから『日本奥地紀行』(平凡社)を副読本がわりに同時に読んだ。伊藤鶴吉の生い立ちから、イザベラとの出会いが綴られ、北日本への旅へと入っていく。イザベラから見たイトー。鶴吉から見たイザベラ。この二つの視点が交錯し、奥地紀行に奥行きを与えている。一つの転機となった秋田県・米代川での出来事として描かれたが、本当に鶴吉はイザベラと決別しようとしたのか、興味深い。後日談として、妹ヘンリエッタの死とビショップ博士との結婚や、再来日して36歳になった鶴吉との再会にも触れているのも良かった。
裏長屋に住む棒手振りの八五郎を狂言回しに、江戸の裏社会で暗躍する者たちを描く。辻斬り、義賊、公儀御庭番が同居する長屋って……落語以上に豪華なキャスティング(笑)。時は八代将軍・吉宗の治世。幕府重臣の職をいいことに、悪逆の限りを尽くす者どもを、片や隠密影同心が、片や公儀御庭番が追う一方、亡主の仇討のために辻斬りに身をやつした浪人が一所に集まる筆運びの良さ! 最後はまさに暴れん坊将軍さながらの大団円でスッキリ。八五郎にも、彼の類まれな異能を生かして、公儀御庭番に就職してほしかったな。
ミリさん(当時35歳)が描く、母への愛情がこもったエッセイ。大阪のおかん、しかし、ノンキな母さん。しかも、子どもの味方であった。そんな母に育てられたミリさんは幸せだ。
信長の父・信秀が亡くなった。著者はこの機を、信長が戦国の表舞台に引きずり出されたとする。鉄砲の準備や信長軍の員数が揃わない中でのこと。斎藤道三の後ろ盾があるとはいえ、尾張国内からも狙われる信長。まさに内憂外患。本書の山場はもちろん桶狭間である。軍師・太原雪斎亡き後の義元の進軍に対し、情報網を駆使して探索した義元の本陣へ、少数精鋭で突っ込む信長たちの描写がよかった。そして、義元を打ち取った場所を「田楽ヶ窪」としたのも良し! 綺羅星のごとく戦国の武将がでてくるのも楽しかった。
老親を連れての旅行で宿泊。草津温泉の湯畑に近く、乗っていった車も宿のすぐ隣の駐車場に止められたので、立地は満足。しかし、ロビー階から数えて地上3階、地下1階の建物は、バリアフリーを意識したリフォームをされていたものの、エレベーターなしで老人には厳しい。フロントで老人連れと分かって、宿の方から「大丈夫ですか?」とは聞かれたが、部屋の変更はしてもらえなかった。地下1階部分が浴室なので、都合4階分を往復することになった。なお、浴室には脱衣所には10人分以上の脱衣ボックスがあったが、浴場は洗い場2か所も含めて5~6人入ったら一杯になってしまうくらいの広さ。部屋の冷暖房はガスファンヒーターと窓に取り付けられたクーラー。夏は泊まったことがないので、涼しいのかな? 素泊まりプランだったので夕・朝食なし……と覚悟して行ったものの、観光客の多さと飲食店の数が見合っていないようで、夕食も朝食も混雑+提供遅延という状況(これは宿評価には加味していない)。朝食のために外出する時にチェックアウト。朝食で遅くなるといけないという配慮をしたつもりだった。しかし、周辺散策で老親を宿のフロントロビーで待たせてほしいとお願いしたところ、苦笑いをされたうえで「チェックアウト時間の10時までならいいです」との返事。これには、こちらが苦笑いを禁じえなかった。どんだけ殿様商売なのか? コストパフォーマンスが良いかと思って選んだ宿だったが、せっかくの正月気分に水を差される思いだった。
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天祐は信長にあり(三)
美濃を攻略し、最愛の帰蝶を稲葉山城へ帰還させることができた。その後、足利義昭を伴い上洛し、将軍宣下を受けさせた。しかし、信長自身は官位官職にまったく興味がない。坂本龍馬に似た孤高感がある。サブタイトルの天下布武が、まだ天下統一の道半ばにある時点で使われたことのリスクを考えたことはなかった。楽市楽座の構想、ルイス・フロイスとの出会いと、次々に歴史の場面が現れるのが楽しい。信長の危機となった金ヶ崎の退き口。浅井長政が父・久政を抑えられずに信長を裏切り、お市の機転による密使に託した小豆が見せ場だ!
イザベラ・バードと侍ボーイ
読み始めてから『日本奥地紀行』(平凡社)を副読本がわりに同時に読んだ。伊藤鶴吉の生い立ちから、イザベラとの出会いが綴られ、北日本への旅へと入っていく。イザベラから見たイトー。鶴吉から見たイザベラ。この二つの視点が交錯し、奥地紀行に奥行きを与えている。一つの転機となった秋田県・米代川での出来事として描かれたが、本当に鶴吉はイザベラと決別しようとしたのか、興味深い。後日談として、妹ヘンリエッタの死とビショップ博士との結婚や、再来日して36歳になった鶴吉との再会にも触れているのも良かった。
実は、拙者は。
裏長屋に住む棒手振りの八五郎を狂言回しに、江戸の裏社会で暗躍する者たちを描く。辻斬り、義賊、公儀御庭番が同居する長屋って……落語以上に豪華なキャスティング(笑)。時は八代将軍・吉宗の治世。幕府重臣の職をいいことに、悪逆の限りを尽くす者どもを、片や隠密影同心が、片や公儀御庭番が追う一方、亡主の仇討のために辻斬りに身をやつした浪人が一所に集まる筆運びの良さ! 最後はまさに暴れん坊将軍さながらの大団円でスッキリ。八五郎にも、彼の類まれな異能を生かして、公儀御庭番に就職してほしかったな。
お母さんという女
ミリさん(当時35歳)が描く、母への愛情がこもったエッセイ。大阪のおかん、しかし、ノンキな母さん。しかも、子どもの味方であった。そんな母に育てられたミリさんは幸せだ。
天祐は信長にあり(二)
信長の父・信秀が亡くなった。著者はこの機を、信長が戦国の表舞台に引きずり出されたとする。鉄砲の準備や信長軍の員数が揃わない中でのこと。斎藤道三の後ろ盾があるとはいえ、尾張国内からも狙われる信長。まさに内憂外患。本書の山場はもちろん桶狭間である。軍師・太原雪斎亡き後の義元の進軍に対し、情報網を駆使して探索した義元の本陣へ、少数精鋭で突っ込む信長たちの描写がよかった。そして、義元を打ち取った場所を「田楽ヶ窪」としたのも良し! 綺羅星のごとく戦国の武将がでてくるのも楽しかった。
草津温泉 旅館八雲(やぐも)
老親を連れての旅行で宿泊。草津温泉の湯畑に近く、乗っていった車も宿のすぐ隣の駐車場に止められたので、立地は満足。しかし、ロビー階から数えて地上3階、地下1階の建物は、バリアフリーを意識したリフォームをされていたものの、エレベーターなしで老人には厳しい。フロントで老人連れと分かって、宿の方から「大丈夫ですか?」とは聞かれたが、部屋の変更はしてもらえなかった。地下1階部分が浴室なので、都合4階分を往復することになった。なお、浴室には脱衣所には10人分以上の脱衣ボックスがあったが、浴場は洗い場2か所も含めて5~6人入ったら一杯になってしまうくらいの広さ。部屋の冷暖房はガスファンヒーターと窓に取り付けられたクーラー。夏は泊まったことがないので、涼しいのかな? 素泊まりプランだったので夕・朝食なし……と覚悟して行ったものの、観光客の多さと飲食店の数が見合っていないようで、夕食も朝食も混雑+提供遅延という状況(これは宿評価には加味していない)。朝食のために外出する時にチェックアウト。朝食で遅くなるといけないという配慮をしたつもりだった。しかし、周辺散策で老親を宿のフロントロビーで待たせてほしいとお願いしたところ、苦笑いをされたうえで「チェックアウト時間の10時までならいいです」との返事。これには、こちらが苦笑いを禁じえなかった。どんだけ殿様商売なのか? コストパフォーマンスが良いかと思って選んだ宿だったが、せっかくの正月気分に水を差される思いだった。