読み始めてから『日本奥地紀行』(平凡社)を副読本がわりに同時に読んだ。伊藤鶴吉の生い立ちから、イザベラとの出会いが綴られ、北日本への旅へと入っていく。イザベラから見たイトー。鶴吉から見たイザベラ。この二つの視点が交錯し、奥地紀行に奥行きを与えている。一つの転機となった秋田県・米代川での出来事として描かれたが、本当に鶴吉はイザベラと決別しようとしたのか、興味深い。後日談として、妹ヘンリエッタの死とビショップ博士との結婚や、再来日して36歳になった鶴吉との再会にも触れているのも良かった。
裏長屋に住む棒手振りの八五郎を狂言回しに、江戸の裏社会で暗躍する者たちを描く。辻斬り、義賊、公儀御庭番が同居する長屋って……落語以上に豪華なキャスティング(笑)。時は八代将軍・吉宗の治世。幕府重臣の職をいいことに、悪逆の限りを尽くす者どもを、片や隠密影同心が、片や公儀御庭番が追う一方、亡主の仇討のために辻斬りに身をやつした浪人が一所に集まる筆運びの良さ! 最後はまさに暴れん坊将軍さながらの大団円でスッキリ。八五郎にも、彼の類まれな異能を生かして、公儀御庭番に就職してほしかったな。
ミリさん(当時35歳)が描く、母への愛情がこもったエッセイ。大阪のおかん、しかし、ノンキな母さん。しかも、子どもの味方であった。そんな母に育てられたミリさんは幸せだ。
本書は3世紀以降の朝鮮半島と日本列島にあった古代国家との関係を史料(史料批判を含む)を基に考察する。高句麗・百済・新羅の三国は教科書にも出てきたが、加耶/任那は読メに出会ってから知ったと言って過言ではない。古代国家が編纂した歴史書は、神話であったり自国に都合の良いことを書くため、中韓日の資料を比較検討するのだが、離合集散がなかなかにややこしい。倭(ヤマト王権)が朝鮮半島に進出したくとも、軍事的にも距離的にも無理があったのだと思う。
地元でも、元ラーメン店の居抜き店舗とプレハブ小屋のような店舗の2店が営業を続けている。すべてがインド人経営だとは思っていなかったが、多くのネパール人が関わっていることが分かった。それはインドのカースト制度と、ネパールが抱える貧困な産業構造にあった。30年ほど前に都内のインド料理店でめっちゃスパイシーなカレーを食べた記憶がよみがえる。本書を読むと、来日したネパール人の苦労・苦悩や、家族滞在の在留資格で日本に馴染めないカレー屋の子の問題があることに気付かされる。高野秀行のルポを彷彿させる本だった。
老親を連れての旅行で宿泊。草津温泉の湯畑に近く、乗っていった車も宿のすぐ隣の駐車場に止められたので、立地は満足。しかし、ロビー階から数えて地上3階、地下1階の建物は、バリアフリーを意識したリフォームをされていたものの、エレベーターなしで老人には厳しい。フロントで老人連れと分かって、宿の方から「大丈夫ですか?」とは聞かれたが、部屋の変更はしてもらえなかった。地下1階部分が浴室なので、都合4階分を往復することになった。なお、浴室には脱衣所には10人分以上の脱衣ボックスがあったが、浴場は洗い場2か所も含めて5~6人入ったら一杯になってしまうくらいの広さ。部屋の冷暖房はガスファンヒーターと窓に取り付けられたクーラー。夏は泊まったことがないので、涼しいのかな? 素泊まりプランだったので夕・朝食なし……と覚悟して行ったものの、観光客の多さと飲食店の数が見合っていないようで、夕食も朝食も混雑+提供遅延という状況(これは宿評価には加味していない)。朝食のために外出する時にチェックアウト。朝食で遅くなるといけないという配慮をしたつもりだった。しかし、周辺散策で老親を宿のフロントロビーで待たせてほしいとお願いしたところ、苦笑いをされたうえで「チェックアウト時間の10時までならいいです」との返事。これには、こちらが苦笑いを禁じえなかった。どんだけ殿様商売なのか? コストパフォーマンスが良いかと思って選んだ宿だったが、せっかくの正月気分に水を差される思いだった。
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イザベラ・バードと侍ボーイ
読み始めてから『日本奥地紀行』(平凡社)を副読本がわりに同時に読んだ。伊藤鶴吉の生い立ちから、イザベラとの出会いが綴られ、北日本への旅へと入っていく。イザベラから見たイトー。鶴吉から見たイザベラ。この二つの視点が交錯し、奥地紀行に奥行きを与えている。一つの転機となった秋田県・米代川での出来事として描かれたが、本当に鶴吉はイザベラと決別しようとしたのか、興味深い。後日談として、妹ヘンリエッタの死とビショップ博士との結婚や、再来日して36歳になった鶴吉との再会にも触れているのも良かった。
実は、拙者は。
裏長屋に住む棒手振りの八五郎を狂言回しに、江戸の裏社会で暗躍する者たちを描く。辻斬り、義賊、公儀御庭番が同居する長屋って……落語以上に豪華なキャスティング(笑)。時は八代将軍・吉宗の治世。幕府重臣の職をいいことに、悪逆の限りを尽くす者どもを、片や隠密影同心が、片や公儀御庭番が追う一方、亡主の仇討のために辻斬りに身をやつした浪人が一所に集まる筆運びの良さ! 最後はまさに暴れん坊将軍さながらの大団円でスッキリ。八五郎にも、彼の類まれな異能を生かして、公儀御庭番に就職してほしかったな。
お母さんという女
ミリさん(当時35歳)が描く、母への愛情がこもったエッセイ。大阪のおかん、しかし、ノンキな母さん。しかも、子どもの味方であった。そんな母に育てられたミリさんは幸せだ。
加耶/任那ー古代朝鮮に倭の拠点はあったか
本書は3世紀以降の朝鮮半島と日本列島にあった古代国家との関係を史料(史料批判を含む)を基に考察する。高句麗・百済・新羅の三国は教科書にも出てきたが、加耶/任那は読メに出会ってから知ったと言って過言ではない。古代国家が編纂した歴史書は、神話であったり自国に都合の良いことを書くため、中韓日の資料を比較検討するのだが、離合集散がなかなかにややこしい。倭(ヤマト王権)が朝鮮半島に進出したくとも、軍事的にも距離的にも無理があったのだと思う。
カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」
地元でも、元ラーメン店の居抜き店舗とプレハブ小屋のような店舗の2店が営業を続けている。すべてがインド人経営だとは思っていなかったが、多くのネパール人が関わっていることが分かった。それはインドのカースト制度と、ネパールが抱える貧困な産業構造にあった。30年ほど前に都内のインド料理店でめっちゃスパイシーなカレーを食べた記憶がよみがえる。本書を読むと、来日したネパール人の苦労・苦悩や、家族滞在の在留資格で日本に馴染めないカレー屋の子の問題があることに気付かされる。高野秀行のルポを彷彿させる本だった。
草津温泉 旅館八雲(やぐも)
老親を連れての旅行で宿泊。草津温泉の湯畑に近く、乗っていった車も宿のすぐ隣の駐車場に止められたので、立地は満足。しかし、ロビー階から数えて地上3階、地下1階の建物は、バリアフリーを意識したリフォームをされていたものの、エレベーターなしで老人には厳しい。フロントで老人連れと分かって、宿の方から「大丈夫ですか?」とは聞かれたが、部屋の変更はしてもらえなかった。地下1階部分が浴室なので、都合4階分を往復することになった。なお、浴室には脱衣所には10人分以上の脱衣ボックスがあったが、浴場は洗い場2か所も含めて5~6人入ったら一杯になってしまうくらいの広さ。部屋の冷暖房はガスファンヒーターと窓に取り付けられたクーラー。夏は泊まったことがないので、涼しいのかな? 素泊まりプランだったので夕・朝食なし……と覚悟して行ったものの、観光客の多さと飲食店の数が見合っていないようで、夕食も朝食も混雑+提供遅延という状況(これは宿評価には加味していない)。朝食のために外出する時にチェックアウト。朝食で遅くなるといけないという配慮をしたつもりだった。しかし、周辺散策で老親を宿のフロントロビーで待たせてほしいとお願いしたところ、苦笑いをされたうえで「チェックアウト時間の10時までならいいです」との返事。これには、こちらが苦笑いを禁じえなかった。どんだけ殿様商売なのか? コストパフォーマンスが良いかと思って選んだ宿だったが、せっかくの正月気分に水を差される思いだった。