テンポ良く読むことが出来る谷崎の中編小説。題目の配列順位はそのまま登場人物の上下関係を示している。飼い猫リリーを溺愛する庄造・元妻の品子・現妻福子。勿論猫が喋るシーンなど皆無だが、谷崎の巧みな猫描写(行動・しぐさ・鳴き声等々)には驚かされた。その猫独特の可憐さを持って彼らの間を行き来する彼女(リリー)を通して、人間達のしょうもないやりとりがよりハッキリと読み手に伝わってくる。上方言葉も効果的で、冒頭の手紙のシーンから一気に読了。