東京(主に港区)を舞台にした、何者にもなれない人間のルサンチマンを描いた短編集。「芝浦の狭小タワマン」をはじめとした時代を切り取る固有名詞を切り貼りすることで、言葉のイメージを巧みに操り読者を引き込みます。(「大豆田とわ子と三人の元夫に遅れてハマっている奥様」をネタにしたのは本当に性格が悪いと思いました!)短編の主人公たちの独白を通じ、自分のコンプレックスや後ろめたい部分を言い当てられているかのような居心地の悪さを感じました。一見するとただの秀逸な露悪ですが、「3年4組のみんなへ」や「すべてをお話しします」など、作者のバランス感覚が垣間見える作品が収録されているのも好きなところです。