『夏の庭』以来、久しぶりで
自分が数日間入院することになり、本を買って行こうと思って好きな作家を色々思い出していました。十数年前に読んだ『夏の庭』を思い出して湯本氏の小説を買いました。
幸い、長い入院ではなく退院し、風邪でダウンしたので時間ができたのでゆっくりベットで読みました。少しだけ読むつもりが、読み終わるまで休む気になれなかった。そのくらい、流れるようにスムーズに書かれた小説です。あたかも、自分の前で時間が流れていくかのような自然なペースで話が進んでいく。
無駄がなく、様々な説明や後日譚を省いた足早のリズムなのに、焦りも感じさせないし、物足りなさも感じさせない。
心地よくて、上手な作家さんだと感じます。
物語は、中学生になる少女と弟が過ごした日々。日常的で、子供目線では大冒険で、ところどころドラマティックで出来過ぎた部分もたくさんある。ただし、出来過ぎた物語の部分も不思議と不快ではない。時間を凝縮しただけで日常にはありふれているフィクションを繋げただけだからかもしれない。
少女の繊細な視点で見る子供の世界と大人の世界の狭間に引き込まれるような小説です。
考えさせられるテーマ、忘れていた感覚、直視せず逃げていた自分など様々なことに向き合い、穏やかな気持ちでハッとさせられる作品でした。
他のユーザのコメント