自分が数日間入院することになり、本を買って行こうと思って好きな作家を色々思い出していました。十数年前に読んだ『夏の庭』を思い出して湯本氏の小説を買いました。 幸い、長い入院ではなく退院し、風邪でダウンしたので時間ができたのでゆっくりベットで読みました。少しだけ読むつもりが、読み終わるまで休む気になれなかった。そのくらい、流れるようにスムーズに書かれた小説です。あたかも、自分の前で時間が流れていくかのような自然なペースで話が進んでいく。 無駄がなく、様々な説明や後日譚を省いた足早のリズムなのに、焦りも感じさせないし、物足りなさも感じさせない。 心地よくて、上手な作家さんだと感じます。 物語は、中学生になる少女と弟が過ごした日々。日常的で、子供目線では大冒険で、ところどころドラマティックで出来過ぎた部分もたくさんある。ただし、出来過ぎた物語の部分も不思議と不快ではない。時間を凝縮しただけで日常にはありふれているフィクションを繋げただけだからかもしれない。 少女の繊細な視点で見る子供の世界と大人の世界の狭間に引き込まれるような小説です。 考えさせられるテーマ、忘れていた感覚、直視せず逃げていた自分など様々なことに向き合い、穏やかな気持ちでハッとさせられる作品でした。
この本では、それまでシリーズ通して主人公と思っていた人ではなく、その周囲のドラマが個々の視点から書かれていて面白かったです。同じ状況を違ったキャラの目線から見ると、それぞれに考えがあって、それぞれの想いがあって、感動的でした。 社会であれば当たり前のことですが本の中だと主人公メインで考えがちなのでこういう手法は良いですね。 シリーズ通して読んでいて、それぞれのキャラクターに気持ちがあるからこそ楽しめるという部分もあると思います。このシリーズとは長い付き合いなので、もう今の自分の年齢ではこういう軽い小説は卒業しようかなって思いながらも、ずっと読んでしまえる奥深い物語。思わず泣きたくなるページも多いので、家で読むことをオススメしたい一冊です。
西の魔女の頃から好きな小説家ですが、軽やかなエッセイも好きでした。しかし久々にこちらの随筆を読んでみると、同じ繊細な目線ではあるものの爽やかで軽やかな雰囲気はなく、ところどころに他人を悪く言わないための配慮のようなものを感じる表現があったように思います。そもそも批判する必要がないから批判しない。しかし、筆者にとっては心地良くはなかったのかなって思ってしまう他人への表現に、作家さんも長い年月の間に色々な体験をして更に大人になっていくし、歳を取るし、性格も変わってくるのだろうと、興味深く感じました。 10年以上前のエッセイと比べると、少し重くなった感じがしますが、感性や紡ぎ方は相変わらず素敵でした。今読みながらも、また数年経って何かが変わったこの作者の本を読みたくなる一冊。過去も未来も、素敵な一面が素敵な一文で感じられたら良いなって思います。
この作者が好きで、本屋さんで探すのが大変なので購入。
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春のオルガン
自分が数日間入院することになり、本を買って行こうと思って好きな作家を色々思い出していました。十数年前に読んだ『夏の庭』を思い出して湯本氏の小説を買いました。 幸い、長い入院ではなく退院し、風邪でダウンしたので時間ができたのでゆっくりベットで読みました。少しだけ読むつもりが、読み終わるまで休む気になれなかった。そのくらい、流れるようにスムーズに書かれた小説です。あたかも、自分の前で時間が流れていくかのような自然なペースで話が進んでいく。 無駄がなく、様々な説明や後日譚を省いた足早のリズムなのに、焦りも感じさせないし、物足りなさも感じさせない。 心地よくて、上手な作家さんだと感じます。 物語は、中学生になる少女と弟が過ごした日々。日常的で、子供目線では大冒険で、ところどころドラマティックで出来過ぎた部分もたくさんある。ただし、出来過ぎた物語の部分も不思議と不快ではない。時間を凝縮しただけで日常にはありふれているフィクションを繋げただけだからかもしれない。 少女の繊細な視点で見る子供の世界と大人の世界の狭間に引き込まれるような小説です。 考えさせられるテーマ、忘れていた感覚、直視せず逃げていた自分など様々なことに向き合い、穏やかな気持ちでハッとさせられる作品でした。
地図のない旅 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season 8
この本では、それまでシリーズ通して主人公と思っていた人ではなく、その周囲のドラマが個々の視点から書かれていて面白かったです。同じ状況を違ったキャラの目線から見ると、それぞれに考えがあって、それぞれの想いがあって、感動的でした。 社会であれば当たり前のことですが本の中だと主人公メインで考えがちなのでこういう手法は良いですね。 シリーズ通して読んでいて、それぞれのキャラクターに気持ちがあるからこそ楽しめるという部分もあると思います。このシリーズとは長い付き合いなので、もう今の自分の年齢ではこういう軽い小説は卒業しようかなって思いながらも、ずっと読んでしまえる奥深い物語。思わず泣きたくなるページも多いので、家で読むことをオススメしたい一冊です。
不思議な羅針盤
西の魔女の頃から好きな小説家ですが、軽やかなエッセイも好きでした。しかし久々にこちらの随筆を読んでみると、同じ繊細な目線ではあるものの爽やかで軽やかな雰囲気はなく、ところどころに他人を悪く言わないための配慮のようなものを感じる表現があったように思います。そもそも批判する必要がないから批判しない。しかし、筆者にとっては心地良くはなかったのかなって思ってしまう他人への表現に、作家さんも長い年月の間に色々な体験をして更に大人になっていくし、歳を取るし、性格も変わってくるのだろうと、興味深く感じました。 10年以上前のエッセイと比べると、少し重くなった感じがしますが、感性や紡ぎ方は相変わらず素敵でした。今読みながらも、また数年経って何かが変わったこの作者の本を読みたくなる一冊。過去も未来も、素敵な一面が素敵な一文で感じられたら良いなって思います。
雪と珊瑚と
この作者が好きで、本屋さんで探すのが大変なので購入。