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勤めていた会社を辞め、栃木の実家に帰ることになった青子が、上司に連れられて銀座の一流鮨店へ。その味に惹かれ、不動産会社に転職して通い始める。青子と鮨職人の、口に出さない心の通い合いを、ネタを表題にした連作短編形式で綴っていく。一流店の鮨と同様に味わい深く、よくできた小説。直木賞の候補くらいになってもおかしくない出来だが、1981年生まれの柚木氏が、バブル期のOLを書くと、どうしてもバブル崩壊を予測しているように捉えられ、後付けの理屈になってしまうだけ損だろう。まさに洒落た逸品なのだが、巻末の「解説」はオソマツ。もっとも、寿司にも回る店があるから、プロとアマチュアの文章の違いと受け取れば、それなりに勉強になるか。