とりわけ認知症患者のケアに多大な効果を発揮してきたユマニチュードについて、その基本的な哲学や、見る・話す・触れる・立つという四つの柱についての具体的な技術、出会いの準備・ケアの準備・知覚の連結・感情の固定・再会の約束という五つの段階に即した相手へのアプローチ技法を解説。各々の技術・技法が単なる経験則というよりも確固たる人間観に裏打ちされていることに驚くとともに、日常業務としてルーチン化したケアは、必ずしも相手を一人の人間として十分には尊重しておらず、ともすれば相手を蔑ろにしがちであることに気づかされる。 細かく項目を立てて分かりやすく説明されているとともに、カラーの挿絵もふんだんに挟み込まれており、とても読みやすい。紹介されている技術・技法はごく基本的なものにとどまり、そこに不満を感じる読者もいるかもしれない。とはいえ、そもそも患者の個別性を念頭に置けば、技術・技法を事細かにマニュアル化することは不可能であろうし、そうしたマニュアル意識はケアをルーチン業務へと堕落させ、患者を一人の人間として尊重する眼差しを喪失させかねない。患者を個人として見つめること、技術の背後にある哲学に立ち返ることが大事なのだろう。