頭の切れる東大生が利殖詐欺にひっかかり、その後は自ら怪しい金融会社を立ち上げて搾取する側に立つが、結局は破綻するというストーリー。折角の優秀な頭脳をそんなふうに使ってしまったことには(本人の幼少期の家庭の問題もさることながら)太平洋戦争中に徴兵された経験が大きく影響しているのではないでしょうか。戦争中は鬼畜米英だったのが、終戦後は金さえあればアメリカ由来の豊かな食や文化芸能、便利な生活を享受できる・・・という状況では「頼れるものはカネだけ」となってしまうのも無理からぬことです。そういう意味では、戦争を記録した小説であるとも言えるでしょう。