今回ばかりは苦言を呈する

このシリーズは好きだからすべて読んでいるし、これからも買うつもりだけど、今回ばかりは苦言を呈する。 (以下ネタバレ) フーダニットは良いとして、ホワイダニットが全然ダメ。0点。 状況もよくわからないのに、なんとなく不穏な印象だけで、問答無用でいきなり見知らぬ人を凶器で一撃する女がいるだろうか? しかも大量に出血して気絶するくらいの勢いで。(下手すりゃ死んでいた) その直後には、あろうことか自分の息子を殺害しているのだ。これも特別な理由はないばかりか、こっちは明らかに殺意をもっての犯行だ。とどめを刺しているし、犯行後は、きわめて冷静に証拠隠滅までしている。どこのサイコパスだよ? ストイックなまでにロジックを貫いて、推理していく過程は好きだけど、今回は謎解きに重点を置きすぎてしまって、犯行における現実味がまったくなかった。これじゃただの謎解きゲームに過ぎない。前回の「水族館の殺人」は、犯行動機が心から納得できるものだっただけに、今回は残念だった。 あと、森博嗣っぽい世界に寄せていっている気がして、危惧している。シリーズ化の弊害だろうか。もうシリーズはいいから、単発作品で良質なミステリーを書いていってもらいたい。