この種の心理学って、われわれはともすれば不合理な判断や選択行動に陥りがちな存在であることを明らかにすることにより、人間を理性的・自律的な存在として規定したり、そうした人間像を前提とした社会像を構築したりすることの愚かさをあげつらうような趣があって、なんか嫌だなあとこれまでは思っていた。ところが、本書では、認知バイアスの存在を理由として人間は愚かな存在であると断定することが、それ自体認知バイアスであると最終章で主張されている。さまざまな認知バイアスを紹介するだけではない、この最終章をもって白眉となすべき。