タイトルで分かるように「差別」の部分を抜きにしてはいけないけど、眉間に皺を寄せて読むような本ではないです。それは「食卓」つまり料理に的を絞ったルポだからかな。たとえば第1章にはフライド・チキンが登場します。鶏の骨付き肉を油で揚げた料理がどうしてアメリカ南部で生まれたのか? その辺りから「差別」とその中にあっても、しなやかに、たくましく生活する人について肩肘張らずに考えていけばいいと思う。ハリネズミ料理(ブルガリア)やヒンズー教ではタブーの牛肉料理(ネパール)なども同様。日本にもあります。牛の屠殺・加工をする際に出る、市場に流せない部位を使った料理。著者も、そういった料理を食べて育った方です。それもあってか世界各地の「被差別の食卓」に向ける眼差しは優しく、温かく「むらの料理」に似た食べ物に異国でめぐり合えた懐かしさと共感に満ちています。